新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、今年のF1世界選手権を開幕できない状態が続いているが、F1の幹部たちは、現在の混乱の影響が2021年の開催にまで波及しないことを願っている。
F1のCEOを務めるチェイス・キャリーは、5月7日(木)に投資家とメディア向けに開いた第1四半期決算発表の電話会見で、「2021年のF1について我々の目標は、今年の1月に想定していた内容とできるだけ同じ状態で実施することだ」と語った。
完全に確信をもつにはかなり時期尚早とはいえ、この発言は、今シーズンの実施を目指していた過去最多の年間22レース開催を、来年のカレンダーでは実現するつもりであることを示唆している。
現時点でも22レースが目標なのかという質問に対して、キャリーは「特定の数字を必達目標にしているわけではないが、答えはイエスだ」と述べた。
「我々としては、2021年の活動を、今年の1月時点で想定していた内容から変えないようにしたい。つまり特定の数を前提にはしないが、当初22レースを想定していたとすれば、そのまま22レースで計画を続行するということだ」
2019年の世界選手権は全21レースで行われた。これにベトナムとオランダが加わる一方でドイツGPがなくなり、結果として2020年はこれまでよりも長いシーズンとして実施されるはずだった。
スペインGPについては、いったん年内の開催を前提として予定が延期されたが、その後新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、他の複数のレースと同様に無期限の延期が決まった。
■F1スペインGP主催者は夏の開催に自信
F1は、影響を受けたこれらのレースについて、夏から秋の時期で日程を組みなおしたいと考えている。新たなスケジュールにおいてスペイン開催の優先度は高くないとみられるが、主催者は希望を捨てていない。
「我々としては、夏の中盤ごろに無観客のF1グランプリを主催できる、と非常に楽観的にとらえている」と、バルセロナ-カタロニア・サーキットのゼネラルマネージャーを務めるホアン・フォントセレは、今週『MotorsportWeek.com』の取材に対して語った。
「この件について、現在リバティ・メディアと検討している。我々は、今シーズンの序盤戦としてヨーロッパで行われるいくつかのなかにスペインが含まれることを願っている」
もし今年このままスペインGPが行われなかった場合、スペインGPの開催が2021年シーズンにまで持ち越される保証はない。その代わりに、F1の幹部たちは新しいイベントとなるマイアミGPを行いたいと考えている。
「最終的にはカレンダーを更新することになる」とキャリーは述べた。
「いくつかの新たなレース候補地の主催者たちと検討を続けている。いずれも、ファンと株主たちにとっては、F1ビジネスの内容をより充実させてくれるものとなるだろう」
今年に関して、F1はレッドブルリンクやシルバーストンでの各2回開催などを通じてレース数を増やしたいと考えている。しかしそれでも、当初から変更された年間18レースという目標の達成は厳しそうだ。現在の計画では、シーズンを来年にまで引き伸ばすことはせず、12月中旬のバーレーンとアブダビで終わらせる予定にしている。
またF1では、2021年シーズンからの実施を予定していた大がかりな規則変更の導入を2022年に先延ばしすることを決めており、来年は2020年型シャシーを使用することになっている。