アルファタウリのダニール・クビアトは、2018年にスクーデリア・フェラーリの開発ドライバーを務め、F1テストを行ったことで、F1復帰へのモチベーションに火がついたと語った。
レッドブルの支援を受けてきたクビアトは、2014年にトロロッソからF1にデビュー、翌年にはレッドブル・レーシングへの昇格を果たしたが、2016年序盤にトロロッソに戻された後、2017年終盤のアメリカGPを終えた後にそのシートも失った。
クビアトは翌年、フェラーリの開発ドライバーに就任、シミュレーター作業を担当することになった。
シミュレーターでの仕事に懸命に取り組んだクビアトは、後にフィオラノで行われたピレリタイヤのウエットコンディションテストでSF71Hの走行を託された。
クビアトは、この日が自分にとってのターニングポイントになったと考えている。F1に戻りたいという気持ちを確認したクビアトは、2019年を前に、レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコから、トロロッソでの2度目のチャンスを与えられることになる。
「その年(2018年)のマシンを一度フィオラノでテストした」とクビアトはF1のポッドキャスト『Beyond the Grid』で振り返った。
「とても感動的な経験だった。フィオラノでフェラーリに乗れるのだからね」
「すごくクールだった。6カ月ほど何のマシンにも乗っていなかったから楽しんだよ」
「あの日、自分はなんとかしてF1に復帰したいのだと実感した。これが僕のやりたいことで、一番うまくできることだからだ」
「それに、テストでとてもいい走りができて、速いラップタイムを安定して記録することができた。誰もがとても満足していた」
■「フェラーリのテストデーの朝はすごく緊張した」とクビアト
それでもクビアトのフィオラノでの充実した一日は、大きな不安とともに始まったという。
「朝食のときには、ひどく緊張していたことを覚えている」とクビアトは言う。
「『オーケー、せめてアウトラップではスピンしないようにしよう』と考えた。かなり長い期間走っていなかったから、少し不安になっていたんだ」
「でも幸運なことにコースに戻ったら、ブレーキングをどんどん遅らせることができるようになっていった。いい感じだったよ」
今になって振り返ると、レッドブルでの嵐のような日々の後で控えの立場に身を置かなければならなかったことで、自分を見つめ直し、自信を取り戻すことができたと、クビアトは考えている。
「あまり楽ではない期間を過ごしてきて、休みが必要だと感じていた」と現在26歳のクビアトは語った。
「頭をはっきりさせるためにトレーニングをし、何もしない時間もあった。そうやって家でゆっくり過ごすことは、ある意味ではとても良いことだった」
「フェラーリの開発ドライバーとしての仕事をある部分では楽しんでいた。イタリアのチームが好きなんだ。フェラーリは大きな歴史があるチームだしね」
「望んでいた仕事ではなかったが、チームのために結果を出し、マシン開発の手助けができたと感じた」
「僕がチームのために最善を尽くしたことは彼らも分かってくれた。ある意味、あの仕事をすることで大きな満足感を得ることができた」