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『ノーサイド・ゲーム』に揃った多彩な面々 眞栄田郷敦、廣瀬俊朗らアストロズメンバーを振り返る

2020年05月10日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『ノーサイド・ゲーム』(c)TBS

 未放送カットと大泉洋のナレーションで再構成された『ノーサイド・ゲーム特別編』(TBS系)。2019年7月期に放送された本編では個性豊かなラグビー部の面々も話題となった。オーディションによって選ばれたメンバーは俳優だけでなく、元選手やお笑い芸人など多彩な顔ぶれが揃った。


参考:大泉洋はどんな役も自分色に染め上げる 『ノーサイド・ゲーム』ほか新境地を切り拓いた3作品


 若手俳優で筆頭に挙げられるのは、七尾圭太役の眞栄田郷敦だ。千葉真一を父に持ち兄は新田真剣佑という俳優一家に生まれ育った眞栄田は、ドラマ初出演にしてチームの中核となる若きスタンドオフを熱演した。制作発表の舞台挨拶でも、並み居る先輩たちに気後れすることなく自分のカラーを出していた眞栄田だが、ラグビー未経験ながら元日本代表選手たちの薫陶を受けて見事に演じきった。『ノーサイド・ゲーム』後は、映画『午前0時、キスしに来てよ』(2019年)やドラマ『あと3回、君に会える』(カンテレ・フジテレビ系)でフレッシュな魅力を発散。ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)や映画『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』の公開も予定されている。


 演出の福澤克雄が元ラガーマンということもあってか、本番の試合さながらの白熱したシーンを撮影するためにラグビー経験者が結集した『ノーサイド・ゲーム』。本作への出演を熱望していたのがアストロズ主将・岸和田徹役の高橋光臣だ。NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』やNHK大河ドラマ『龍馬伝』、『西郷どん』に出演歴のある高橋だが、中学から大学までラグビー部に所属。いつラグビー選手としてオファーが来てもいいように、演技のスキルや身体能力を鍛えていたという高橋にとって、本作への出演はまさに役者冥利に尽きるものだったと言える。第1話でアストロズメンバーを引き連れて君嶋隼人(大泉洋)の前に登場するシーンをはじめ、随所で闘志みなぎるキャプテンの顔を見せた。


 ライバルチームに禁断の移籍をする里村亮太を演じたのは佳久創。地上波ドラマを中心に活躍する俳優の佳久は、現役時代、トヨタ自動車ヴェルブリッツに所属し、15人制ラグビーの日本代表にも参加したことのある生粋のラガーマンだ。本作の前後半でポジションを一変させ、憎まれ役を引き受ける里村は『ノーサイド・ゲーム』になくてはならないスパイスの役割を果たしている。


 高橋や佳久以外にも、対戦相手ブレイブスのスクラムハーフとして、ジャパンラグビートップリーグ「パナソニック ワイルドナイツ」の選手たちとゲスト出演した濱田岳など、芸能界を横断してラガーマンが集結した『ノーサイド・ゲーム』。忘れてはならないのが不動の司令塔・浜畑譲を演じた廣瀬敏朗だろう。本作で俳優デビューを飾った廣瀬は元ラグビー日本代表主将。ラグビーワールドカップ2015大会ではヘッドコーチのエディー・ジョーンズにキャプテンを解任されるも、対戦相手の研究や応援VTRの制作などでチームを鼓舞し、南アフリカ戦の勝利をもたらしたことでも知られる。


 『ノーサイド・ゲーム』では、アストロズの中心選手として新任GMの君嶋とぶつかり合いながらチームをひとつにまとめ、七尾を不動のスタンドオフに育て上げる。役者初挑戦と思えない肝の据わった演技には、放送当時、驚きと賞賛が寄せられた。起業家としても活躍する文武両道の廣瀬だが、俳優再登板にも期待したい。


 アストロズが掲げる攻撃ラグビーを具現化するために呼び寄せられたのは、元日本代表の天野義久や齊藤祐也などラグビーファン垂涎のラインナップだ。本業が俳優やスポーツ以外の出演者にも妥協のないクオリティが求められる中で、それに応えてみせたのが林家たま平とコージである。それぞれ落語家また漫才コンビのブリリアン(当時)として笑いのフィールドで才能を発揮する2人も、競技経験を活かしてアストロズのレギュラーとして奮闘。たま平演じる佐々の里村との一騎打ちや、君嶋の息子・博人(市川右近)との心温まる交流、タックルの猛特訓をする友部役のコージを記憶している視聴者も多いだろう。


 その後の両者の活躍は、たま平が恋愛バラエティ『ダブルベッド SEVEN DAY LOVER』(TBS系)に出演。コージは今年3月のブリリアン解散後、アメフトの競技熱が再燃し、日本社会人Xリーグ所属「みらいふ福岡SUNS」に新規加入が決定するなど各分野で話題を振りまいている。


 炎天下のフィールドで白熱のラグビーシーンを再現したアストロズメンバーたち。その雄姿を目に焼き付けながら、再集結する日を待ちたい。


■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。