2020年05月09日 10:11 弁護士ドットコム
離婚した相手に対して「2度と顔も見たくない」「連絡も取る気にならない」などと思う人は少なくない。一方、1度離婚した相手と再婚し、夫婦生活をやり直す人もいる。
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会社員のアキラさん(男性・40代)もその1人だ。専業主婦の妻とは夫婦喧嘩が絶えなくなり、性格の不一致から離婚。親権者はアキラさんに決まった。
しかし、子どもが精神的にショックを受け、不登校になったことから、「子どものため」と割り切り、再び結婚したという。「今は仮面夫婦を続けています」とアキラさんは語る。
弁護士ドットコムにも1度は離婚したものの、再び同じ相手と再婚を決意したという人からの相談が複数寄せられている。「夫の浮気が原因で離婚しましたが、やり直してほしいと言われた」人もいれば、同じ人との離婚、再婚を2度も繰り返している人もいる。
相談の多くを占めるのは、戸籍や財産分与などに関する質問だ。ネット上には、前の夫または妻と再婚する場合は「戸籍上のバツが消えるのではないか」という声もある。
しかし、澤藤亮介弁護士は次のように説明する。
「戸籍につきましては、同一人物と再婚したからといって、前回の離婚についての記載(離婚日や離婚した相手方の配偶者氏名など)が削除されることはありません。
前婚についての婚姻の記載と離婚の記載に加え、今回の再婚についての婚姻の記載がされることとなります」
では、同じ相手と再婚する場合も「再婚禁止期間」(女性の場合は離婚した日から100日間の再婚禁止期間が定められている)は適用されるのだろうか。
澤藤弁護士は「前の夫と再婚する場合は適用されず、禁止期間満了を待たずに再婚についての婚姻届を提出することが可能です。民法733条1項の『再婚』とは、前夫以外の男性との婚姻を意味すると解されています」
前回の離婚時に、財産分与によって不動産や金銭などを受け取っていることもあるだろう。同じ相手と再婚する場合、これらの財産はどのように扱われるのだろうか。
「前回の離婚時に離婚協議書などで慰謝料や財産分与につき合意し、その合意に従って金銭や不動産などの授受が行われていた場合、各々が取得した金銭や不動産などは、原則として再婚時には各々の『特有財産』と考えられます。
そのため、もし再度離婚することになった場合には『共有財産』には含まれないと解されます。ただし、再度の離婚時に双方で合意のうえ、『共有財産』とみなして財産分与の協議をすることは可能です」
戸籍や財産分与、再婚禁止期間のほか、子どもに関する質問も寄せられている。前婚中に生まれていた未成年の子どもの親権については、前婚の離婚時にどちらかが単独親権を取得することになる。同じ人と再婚した場合、養子縁組の必要はあるのだろうか。
「通常の再婚であれば、連れ子との養子縁組をしない限り、その子の親権は共同にはなりません。しかし、同一人物と再婚した場合は養子縁組や親権者変更の手続きをすることなく、共同になると解されます」
【取材協力弁護士】
澤藤 亮介(さわふじ・りょうすけ)弁護士
東京弁護士会所属。離婚、男女問題などを中心に取り扱う。自身がiPhoneなどのデバイスが好きなこともあり、ITをフル活用し業務の効率化を図っている。日経BP社『iPadで行こう!』などにも寄稿。
事務所名:東京キーウェスト法律事務所
事務所URL:https://www.keywest-law.com