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『あつ森』新住民・ジャックはなぜ大人気? 3つの理由とSNSでの「交換」文化について考える

2020年05月08日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 「どうぶつの森」シリーズの最新作として発売されたNintendo Switch用ソフト『あつまれ どうぶつの森』、通称『あつ森』。新型コロナウイルスの影響で”おうち時間”を過ごす人が増えたこともあり、本作は驚異的なヒットを飛ばし、連日SNSで話題となっている。


(参考:『あつまれ どうぶつの森』なぜ20~30代女性ユーザー急増? 理由は“新型コロナ”と“インスタ”にあり


 個性豊かな住民との交流は、『あつ森』の魅力の一つ。本作をプレイしたことがない人も、SNSで眼鏡をかけたグレーの猫を見たことはないだろうか? 300人を超える住民たちの中で、特に注目を集めているのが、この新住民「ジャック」である。


 『あつ森』から新登場となった住民は8人。どの住民も注目度が高く人気だが、その中でも、ジャックは突出して大人気なのである。なぜここまでダントツの人気を誇るまでになったのか、その秘密を分析してみよう。


1.実はシリーズ初だった! 禁断の組み合わせ「キザなネコ住民」
 「どうぶつの森」シリーズの住民には、イヌ、ネコ、ウサギ、カエル、ハムスター、トリ、リス、ワニ……といった様々な種族がある。どの種族の動物も見た目や名前がユニークで、それぞれ違った可愛らしさがある。


 とはいえ、この日本で「ネコ」が大人気であることに、もはや特別な説明は不要だろう。


 そして、住民たちには性格の種類が8つあるのだが、性別が男の住民の中では、キザな性格の住民は一番数が少ない。つまり倍率的にレアなのだ。


 この人気の種族「ネコ」とレアな性格「キザ」を兼ね備えた住民は、なんと過去シリーズにはいなかった。「初のキザなネコ住民」という条件だけでも、ジャックが注目を浴びるのは必然だったといえるだろう。


2.属性てんこ盛りの外見
 ジャックといえば、何といってもその外見だ。


 オッドアイ、三白眼、メッシュのような前髪(毛並み)、黒縁メガネ、ピシッとしたスーツ姿、笑うと見える八重歯……刺さる人には刺さるポイントを、的確に、複数押さえている。


 ブルーグレーを基調にしたシックな配色も洒落ているし、整った顔立ちはイケメン(イケネコ?)と言って差し支えないだろう。


 住民たちは“どうぶつ”とはいえ、ゲーム世界のプレイヤー(人間)と同じ背格好なので、ある意味ではネコミミが生えた美青年……といったように妄想することも可能かもしれない。


3.イケメンなので、キザな言動が似合ってしまう!?
 ジャックの「キザな性格」もキャラの濃さに一役買っている。


 『あつ森』に登場するキザな性格の住民たちは、基本的に言動がキザである。周りの住民との会話では、カッコよくキメたはずがスルーされてしまったり、「いい人だけど、ちょっと残念よね……」といったふうにコミカルに扱われることもある。


 しかし、ジャックはイケメンなので、歯が浮くようなセリフを言っても、どこかカッコよく・可愛らしく見えてくる……と筆者は感じている。


 スーツ姿のジャックにロマンチックな台詞を言われ、ドキッとするプレイヤーもいるかしれない。一方で、他のキザ住民と同じくジャックも、あまりモテている様子はないので、「残念なイケメン」というユニークさを愛でることもできる。


・ジャックをはじめ、住民の「交換」文化が盛り上がるSNS
 そんなジャックを自分の島に呼びたい、一緒に無人島生活がしたい! と考えるプレイヤーは多い。


 本作で、引っ越しにくる住民を見つける方法はいくつかある。基本的には「キャンプサイト」や「離島」でランダムに登場する住民に声をかけることになるが、ズバリ目当ての住民と出会うまで、途方もない時間を要することになる。


 そこで活躍するのが「どうぶつの森amiiboカード」だ。お気に入り住民のamiboカードを持っていれば、その住民を島のキャンプサイトに呼び出すことができ、条件を満たせば自分の島に引っ越ししてきてくれる。


 しかし、ジャックを含めた新住民たちは、まだamiiboカードにラインナップされていない。


 これが新住民たちがプレイヤーたちに渇望される理由でもある。


 そして、「別の島から引っ越してきてもらう」という方法がある。


 本作では、自分の島から引っ越すことを決めた住民に、別の島から訪れたプレイヤーが話しかけると、そちらの島を引っ越し先に決めてくれる。そして本作は、元々親しい友人以外でも、インターネットを介して簡単に招待することができる。


 このことから、SNSで住民を「交換」する動きが、大変活発となった。


 自分の島から引っ越そうとしている住民がいる人は、誰か島に呼びたい人は居ませんかと声をかける。どうしても特定の住民を呼びたい人は、あなたの島から引っ越そうとしていませんか?と呼び掛ける。


  ジャックを始めとする人気の住民たちは、ひとたび投稿があると多数の人が手を挙げるので、競争率が高い。そこにゲーム内のアイテムを提供する条件が加わることもあり、「住民」を交換するやり取りは、かなりシビアで熾烈なものとなっている。


 住民の移住だけでなく、季節限定のアイテムや、島によって売値が異なる「カブ」の売買についても、SNSでの交換は白熱。(日曜の午前中には、カブの最低購入価格を示す「カブ90ベル」がトレンドに入るほどだった)


 こういった様子は、無人島でのスローライフという『あつ森』のイメージからは、少し意外に感じられるかもしれないし、本来の楽しみ方とはかけ離れているように思えるかもしれない。


 しかし、プレイヤーが必死に目当ての住民を探し求めるのは、その住民の可愛らしさや、その住民を好きで好きで仕方がないという気持ち故なのである。


 ジャックに魅了されたプレイヤーたちが、ジャックとスローライフを送れるようになる日を祈るばかりだ。


(宮崎栞)