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宮迫博之の“テレビCM復帰”に見た、YouTuberヒカルの「金と好感度に縛られない強み」

2020年05月07日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

動画サムネイルより

 雨上がり決死隊の宮迫博之と金持ちYouTuberのヒカルが5月4日、自分たちのテレビCMが放送されるにあたって、YouTubeで生配信を行った。


(参考:世界の村上隆、YouTuberヒカルを絶賛 「現実なのにファンタジックで、本当に素晴らしい」


 はじめに、今回のテレビCMが決まった経緯について説明したい。ヒカルは「地上波のテレビCMに出演したい」という野望を叶えるべく、衣類と靴のネット通販を行う上場企業「ロコンド」の社長に直談判。その結果、自身が運営するアパレルブランド「ReZARD」とのコラボシューズが一定水準以上の売り上げを記録したら、宮迫と自分が出演する「ロコンド」のテレビCMを打つという約束を取り付けることに成功した。


 結果として、コラボシューズは飛ぶように売れ、このほど、4日放送のテレビ東京系のバラエティ番組『YOUは何しに日本へ?歌手になりたいYOUがデビューかけ上京SP』にて初O.A.されることになったというわけだ。


 配信冒頭、ヒカルは「今回のテレビとYouTubeのコラボ企画を大きな反響にしたい」とした上で、「テレビCMが流れた瞬間『#おかえり宮迫さん』を、一緒にツイートしてほしいんですよね。そうすることでYouTubeの影響力、大スター宮迫さんの力をテレビ局に教えてあげたい」と視聴者へ呼びかけた。


 一方、半ば強引にヒカルの願望に巻き込まれる形で、地上波復帰することとなった宮迫は、「味わったことのない緊張やわ」と一言。テレビ画面上にバナナマンが登場すると、「うわ、バナナマンや。なんか繋がった気がするな、久しぶりにバナナマンと(笑)。2人ともええやつやから」とつぶやき、「バナナマーン!」とうれしそうに手を振ったりもした。


 そして、CMが流れると、「うおー!!」と揃って歓声を上げた宮迫とヒカル。放映されたCMは、宮迫がステージ上で「君の靴がロコンド~僕の靴もロコンド~」とオリジナルソングを熱唱し、その様子をヒカルが傍から観ているというもの。


 CMが終わると、「これはちょっと来るな……」と感動の面持ちの宮迫。Twitterで「#おかえり宮迫さん」がトレンド1位に輝くと、ヒカルも「これはすごいですよ。宮迫さんのスタートを見てきましたから。最初はどうなるかわからなかったですけど、それが今こうなってるわけですからね」と感慨深げな表情を浮かべ、宮迫は「なんかすごすぎて。言葉にならんなぁ。有難すぎて」としみじみと語っていた。


 番組とCMでは、“復帰”と言っても別物だ。しかし、これほど早く、テレビで活躍する宮迫の姿が見られると予想した人は少なかっただろう。


 宮迫がYouTubeでの活動をスタートさせたとき、ヒカルという必ずしもクリーンな印象ではない、いわばYouTube界の“ダークヒーロー”を頼ったことに、マイナスの見方もあった。しかし結果として、宮迫を遠慮なくいじり、「高級店ばかり行ってそうでイメージが悪い」とファミリーレストランやラーメン店に連れ回し、いつしか年の離れた友人のような距離感で、素の表情を引き出していったヒカルは、ついにテレビCM出演までの道をつないだ。宮迫にいくらシンパシーを感じていても、業界関係者にはできなかったことだろう。


 ネットを起点に小さくない規模で物事を動かすことができる、資金力と影響力。そして業界的な慣習にも、世間的な好感度にも左右されず、ネットで注目を集めるコンテンツを作るというスタンスと能力。それら全てが好意的に捉えられるかどうかは別として、ヒカルの協力で、エンターテイナーとしての宮迫の純粋な部分に触れ、その面白さを発見/再発見し、応援するファンは明らかに増えている。


 今回のCMについて、「宮迫さんが出演しないならやらない」「ギャランティーはいらないから、その分を商品の割引キャンペーンに回して盛り上げたい」と、男気も見せていたヒカルだが、あくまで「自分のため」として涼しい顔だ。タレントYouTuberも激増しているなかで、有名芸能人からアドバイスの依頼も舞い込んだというヒカル。その影響力がテレビを含むマスなエンターテイメント業界にどれだけ及んでいくか、注目が集まる。


(こじへい)