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Amazonにデータ不正利用疑惑、ジェフ・ベゾスが米議会で証言へ

2020年05月05日 13:51  リアルサウンド

リアルサウンド

Pexelsより

 アメリカ議会下院の司法委員会は5月1日、米テクノロジー大手Amazonが外部の販売業者のデータを不正利用した疑いについて、創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏に議会での証言を要求したと発表した。


(参考:Amazonがフランスの配送センターを閉鎖、パンデミックで裁判所命令に対応できず


販売データを使用して自社製品を開発、不当に競争上の優位を得た?
 Amazonは、自社プラットフォーム上でサードパーティの出店者の販売データを使用して、自社ブランドの製品開発を行い、競争上の優位を不当に得た、とウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。


 しかしAmazonは以前の公聴会で、このようなデータの不正利用はないと証言しており、辻褄があっていない。


 アメリカでは、巨大化するテクノロジー企業に対して、反トラスト法(独占禁止法)違反がないか、厳しい視線が向けられていると、その背景について『CNN』は説明する(参考:https://edition.cnn.com/2020/05/01/tech/house-judiciary-bezos-testimony/index.html)。


 Amazonは「他の小売業者と同様に、弊社は顧客に最高のエクスペリエンスを提供するために、販売や店舗のデータを調べています。しかし、従業員が非公開の販売業者の機密データを使用して、プライベートレーベルの製品を決めることを固く禁じています」と、以前に立場を明確にしている。


 しかし、書簡には「ウォール・ストリート・ジャーナルの記事の報告が正しければ、Amazonが、ビジネス慣行について委員会へ述べた証言は、誤解を招くもので、偽証の可能性があると思われる」と書かれているという。


 ジェリー・ナドラー米下院司法委員長と、反トラスト小委員会を率いるデヴィッド・シシリーン下院議員により署名されたこの書簡は、自発的に証言しない場合は、強制力のある召喚状をジェフ・ベゾス氏に送る権利も有するとしている。


パンデミックが経営を圧迫、株価は下落
 Amazonは、2020年第1四半期に、純売上高は前年同期比26%増の755億ドルを記録した。純利益は25億ドルを記録し、前年同期比で10億ドル減少した(参考:https://techcrunch.com/2020/04/30/amazon-q1-beats-on-net-sales-of-75-5b-but-posts-net-income-of-2-5b-down-1b-on-a-year-ago/)。


 社会全体が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機的な状況で、サービスを提供するために、収益性は犠牲になった。営業利益も前年同期の44億ドルから40億ドルと減少し、その結果、Amazonの株価は約5%下落した。


Amazonの後退は、まだ序の口?
 『Forbes』は「Amazonの後退は、まだ序の口かもしれない」と伝えている(参考:https://www.forbes.com/sites/kramermichael/2020/05/01/amazons-pullback-may-only-be-starting/#17dff5202012)。


 Amazonは、AWS (アマゾン ウェブ サービス)の業績が爆発的に伸びており、稼いだお金は思い切って再投資するというサイクルで成長を続けてきた。


 今回のパンデミックに際して、実店舗での消費が冷え込む中、Amazonのオンラインショッピングの利用は、大幅に伸びた。物流インフラとしての重要な役割が再確認されたが、規制当局や感染を恐れる従業員との対立が先鋭化。労働環境の防疫対策や営業の自粛等で、収益は圧迫されて、“骨折り損のくたびれ儲け”状態に陥ってしまっている。


 今後この危機的状況を乗り越えて、形勢を立て直すことが出来るか、Amazonの底力が試されることになりそうだ。


(Nagata Tombo)