2020年05月03日 09:41 弁護士ドットコム
新型コロナウイルスによる外出自粛で、ベランダにイスやテーブルを出して食事やお酒を楽しむ「ベランダキャンプ」や「ベランダBBQ」が流行りつつあるようだ。
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インスタグラムなどSNSでは、ベランダでのBBQに関するハッシュタグの投稿が多いもので4000を超えている。コンロやガスバーナー、七輪などを使ってマンションやアパートなど集合住宅のベランダで火を起こしている投稿も目立つ。
推奨する声がある一方、「ベランダでBBQやったり、火器を使うと消防法に引っかかることがあると思うんだけど、みんな大丈夫なのかな」とベランダで火を使うことを懸念するツイートも見受けられる。
ベランダで火気を使用してもいいのだろうか。また、「友人が自宅マンションのベランダでBBQをしていたところ、隣人からクレームが入って中止しました」(都内在住の男性)など、ご近所トラブルになるケースもあるようだ。
注意すべき点を不動産に関するトラブルに詳しい冨本和男弁護士に聞いた。
ーーマンションやアパートのベランダで火を使う行為は、法的に問題となりえるでしょうか
火を使う行為自体は法に違反しないのではと考えます。例えば、東京都の「火災予防条例」の23条1項では、消防総監が指定した一定の場所での火の使用が禁止されていますが、マンションやアパートのベランダは対象にならないと考えられます。
また、BBQの場合、ゴミの焼却でもありませんので廃棄物処理法にも違反しないと考えられます。ただし、火を使う行為によって他人に被害を与えた場合には、民事上では不法行為となり得ますし、刑事では失火や過失致死傷の罪になり得ます。
ーーマンションやアパートの管理規約に「ベランダの火気使用」を禁止する項目があった 場合、退去通告などを受けるおそれもあるでしょうか
あると考えられます。ベランダでの火の使用はマンションやアパートの所有者の共同の利益に反する行為ですので、人から借りている物件であれば契約を解除される理由になります。
自分の物件でも管理組合から使用の禁止や競売を求められる可能性があります(建物の区分所有等に関する法律58条・59条)。
ーーベランダキャンプの煙や騒音を原因として、上階や隣の住人と裁判などトラブルになることは考えられるでしょうか。
考えられます。普通の人が日常生活で我慢すべき限度を超えるような被害を与えた場合、 民事上の不法行為とされ、裁判で止めるよう求められたり、賠償請求される可能性がありま す。
ベランダでキャンプやバーベキューを楽しむことは結構ですが、他の住人の迷惑にならないようにする必要がありますね。
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp