2020年05月02日 09:41 弁護士ドットコム
不倫がバレたとき、気になるのが慰謝料の問題です。弁護士ドットコムには「●●万円は高いでしょうか」と相場をたずねる質問が頻繁に届いています。過去にはこんな相談も。
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「結婚してまだ6カ月の従姉妹が、夫の浮気で離婚しようとしています」
相談者によれば、夫はまだ新婚ほやほやだというのに、独身だと偽って不倫をしていたようです。一方で、妻には妻の思惑がありました。
「従姉妹は結婚で地元を離れ、知り合いがいない遠方での生活が嫌になったようです。夫の浮気を渡りに舟とばかりに、慰謝料をとれるだけとった上で別れて、地元に帰りたいみたいです」
妻側は、夫と不倫相手に400万円ずつの計800万円を一括して夫に請求しているといいます。
相談者は「浮気する夫も夫」と言いつつも、「こんな金額が認められるんでしょうか」と、妻側にも批判的なようです。はたして、800万円という金額は認められるのでしょうか。
加藤寛崇弁護士は「不倫による慰謝料がどれくらいになるかというのは、よくある相談の1つ」だと言います。折り合いがつかず、裁判になったときの相場を聞きました。
ーー裁判所が決める不倫の慰謝料額は、どれくらいになるのでしょうか
「裁判官の感覚・価値観によって左右される面もありますが、おおよその傾向はあります(全ての裁判所における判決を網羅した調査は見当たらないので、完全に正確なものは存在しません)。
別居・離婚に至らないケースなら100万円前後、別居して破綻したり離婚まで至っていれば150~300万円程度というのがおおよその傾向と思われます。
300万円を超える高額な慰謝料になったケースは、
・不倫相手が子どもを出産するまでに至っていながら謝罪もしていない事例
・不貞だけではなく暴力行為などの有責行為もあった事例
・複数の不倫相手がいた事例(配偶者に慰謝料請求した事案)
などで、悪質性が高い場合に限られる傾向にあります。
これ以外に、離婚まで至った場合には、婚姻後の同居期間が長く、小さい子どもがいるようなケースの方が、慰謝料額が比較的高くなる傾向にはあります」
ーーこの夫婦には子どもはいませんし、例にあがったような悪質な事情はなさそうです
「諸事情との兼ね合いではありますが、一般的に言えば、特別の事情がない限り、400万円もの慰謝料請求は過大です。
また、慰謝料額はあくまで配偶者と不倫相手で共同して支払うものです。一方が支払えば他方の支払義務もその分なくなります。
したがって、今回のケースでは、妻の慰謝料請求は合計800万円ということになり、これは裁判所で認められる余地はほぼない金額です」
【取材協力弁護士】
加藤 寛崇(かとう・ひろたか)弁護士
東大法学部卒。労働事件、家事事件など、多様な事件を扱う。労働事件は、労働事件専門の判例雑誌に掲載された裁判例も複数扱っている。
事務所名:三重合同法律事務所
事務所URL:http://miegodo.com/