2020年05月01日 17:42 弁護士ドットコム
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出自粛の影響で、夫の不倫が終息することを願う妻たちがいる。
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子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板にも「コロナで不倫も終わるね」(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3575034)という投稿があった。投稿者は「会えない間に夫婦の絆も深まるし、子どもも出来るかもしれないよ。不倫女は捨てられるね」と綴っている。
しかし、気軽にラブホテルに行くことができなくなったものの、不倫関係そのものは続いているという人は少なくないようだ。
投稿には、自らも不倫しているという人たちから「今でも週2で会っている」「奥様が休業中だから会えないけど、写真の交換したりしてるよ。LINEも毎日」「おやすみはしてるけど、終わりはしない」などのコメントが寄せられている。
不倫関係を20年続けているという女性は「むしろ自粛期間が長くてお互いの気持ちがたかぶっている」という。妻たちの期待とは裏腹に、不倫は自粛されていないようだ。
中には「妻とは離婚する」という男性の甘い言葉を信じて、「正妻」となる日を待ち続ける女性たちもいる。河内良弁護士は次のように指摘する。
「このような立場にある女性には『既婚男性の口説き文句を100%信じ込む』ということがよくあります。そもそも『妻は不倫していることは許容している』とか『絶対に離婚しないと主張している』という話自体、果たして本当のことなのか怪しむべきかもしれません」
このように、実際は離婚を考えていないものの、不倫相手との関係を続けたいために嘘をつく男性もいる。一方で、本気で離婚しようとしたものの、妻に離婚を拒否され、悩んでいる男性もいる。
妻たちが夫の不倫を分かっていながらも離婚を拒否するのは「生活できない」「離婚して働こうと思っても、コロナの影響で仕事があるか不安」などの理由からだ。
不倫をおこなった夫は、妻との間の婚姻関係を破綻させる原因を作った配偶者(「有責配偶者」)にあたる。このような有責配偶者からの離婚は認められないのだろうか。
河内弁護士は「裁判所が離婚を認めてくれるかは、裁判官・証拠次第です。あまり楽観的な見方はできません」と説明する。
「最高裁の判例によれば、このような有責配偶者からの離婚請求が認められるための要件は3つあります。
(1)別居期間が長期間にわたること(2)離婚する夫婦の間の子が未成熟でないこと(3)離婚することで、他方配偶者(この相談でいえば妻)が精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれることがないこと、です。
交渉をして離婚を求めても妻がこれに応じなかった場合は、裁判所に判断してもらうほかに方法はありません。
その場合、まずは離婚調停を申し立てないと、離婚訴訟に持ち込むことができないとされています(調停前置主義)ので、ともかく離婚調停の申立てが必須です」
【取材協力弁護士】
河内 良(かわち・りょう)弁護士
大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。
事務所名:河内良法律事務所
事務所URL:http://www.kawachiryo-law.jp