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『LoL』がカードゲームに!? 『レジェンド・オブ・ルーンテラ』プレイレビュー

2020年05月01日 11:01  リアルサウンド

リアルサウンド

レジェンド・オブ・ルーンテラ

 あの『リーグ・オブ・レジェンド』と世界観を共有するデジタルカードゲーム、『レジェンド・オブ・ルーンテラ』がいよいよ2020年5月1日からβシーズンを終え、一般リリースされる。現在はプラットフォームはPCのみだが一般リリース開始後からはモバイルでもプレイ可能になる。


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 この記事では他のデジタルカードゲーム(DCG)とは一風変わっていて、かつ魅力的なゲームシステムを持つ本作についてご紹介したい。


■ルーンテラのゲームシステム
 『ハースストーン』に端を発するDCGは、基本的なゲームシステムとルールが『ハースストーン』に倣っているような作品も多い。


 だが『レジェンド・オブ・ルーンテラ』のゲームシステムは『ハースストーン』ライク、というよりはトレーディングカードゲーム(TCG)である『マジック・ザ・ギャザリング』の戦闘フェイズをひたすら繰り返すようなプレイ感が特徴的だ。


 以下本作のゲームシステムについて簡単に説明するが、『レジェンド・オブ・ルーンテラ』のシステムはかなり複雑だ。実際にゲームプレイを重ねなければ全貌を理解することは難しいと思われるので、読んでいて「よくわからないな」と思ったら読み飛ばして次の見出しを読んでいただいても構わない。


 まず『レジェンド・オブ・ルーンテラ(以下『ルーンテラ』)』が他のDCGと大きく違うのは、カードをプレイする権利が交互に移り変わる点だ。この権利は優先権と呼ばれ、プレイヤーAがカードを場に出すと、今度はBがカードを出す権利(優先権)を得る。そしてBがカードを出し、またAに優先権が移る。AとBの両方が優先権を放棄したら次のフェイズに移る、といった流れだ。


 『ルーンテラ』には自分のターン、相手のターンといった概念はないに等しく、自分が優先権を持ってさえいればカードをプレイできる。


 デジタルではないアナログのカードゲームでは、お互いのターンにお互いのプレイヤーがカードをプレイできる作品は少なくないが、デジタルカードゲームでこのシステムを採用している作品はなかなか珍しい。そしてターンという概念の捉え方に関してはほとんど唯一無二と言ってもいいレベルだ。


 『ルーンテラ』では、アタックトークンと呼ばれる”攻撃する権利”を持っているプレイヤーが自身が場に出しているカードのうち、どれで相手に攻撃するかを選択する。


 『ハースストーン』や『シャドウバース』では攻撃するカードは1体ずつスワイプするが、『ルーンテラ』では攻撃するカードは一斉に決めなければならい。そして攻撃する対象は基本的に選ぶことができず、攻撃したカードはブロックされなければ対戦相手のライフを削るようになっている。


 そして攻撃された防御側のプレイヤーは相手のアタックに対して、どのカードでその攻撃をブロックするかを選ぶ。これは『マジック・ザ・ギャザリング』や『デュエルマスターズ』における“ブロック”と似たようなものだと思ってもらってかまわない。


 これが本作の基本的なバトルの流れだが、実戦ではプレイヤーはコストを支払って呪文を唱えることもできる。この呪文は種類ごとにプレイできるタイミングが異なっており、プレイ可能なタイミングが限られているカードほど強力にデザインされている。戦闘中にも使える”クイック”の呪文は、効果自体はそこまで大きくないものの相手の不意をついて戦闘を有利に運べる、といった具合だ。


 デジタルカードゲームの中ではなかなかユニークなシステムで、はじめは面食らうかもしれないが、経験を積んでシステムを理解し始めると本作の持つ奥深い戦略性が味わえるようになる。


■カードゲームで再現される『LoL』のキャラ
 『リーグ・オブ・レジェンド』と同じく人気MOBAを題材にしたDCG『Artifact』は、MoBAそのもののゲームシステムをカードゲームに落とし込めないか、といったテーマで作られていた印象があるが、『レジェンド・オブ・ルーンテラ』はMOBAのプレイ感を再現しているわけではない。


 むしろ『ルーンテラ』が力を入れて再現しているのは魅力的な『リーグ・オブ・レジェンド』のキャラクターたちだ。『リーグ・オブ・レジェンド』においてプレイヤーが操作するチャンピオンは、『ルーンテラ』において他のカードと比べて特別強力で、条件を満たすとゲーム中に強力なカードに変化する”レベルアップ”というシステムも備えている。


 それぞれのチャンピオンが持つ効果は原作である『リーグ・オブ・レジェンド』でのスキルや、そのキャラクターの性格・性能などを元に決められているようで、ただガワとして『LoL』のキャラを使っているだけのゲームでないことが実感できる。


 チャンピオンがレベルアップした時にはカットインが入るのだが、このカットインも非常に派手で短時間のアニメーションが全画面を使って映し出される。ここまでの演出を行なうDCGはあまり見たことがない。『LoL』のキャラが持つ魅力は、『ルーンテラ』でも最大限引き出されていた。


■少額の課金でもトップデッキが組める
 DCGといえばいわゆる環境デッキと呼ばれるような、いま流行っていて強いデッキを作るには数万円の課金が必要だったりすることが珍しくない。


 しかし『ルーンテラ』は現状、初心者でも2000~3000円程度課金すれば現環境の最強クラスのデッキが妥協なしで作れてしまう。本作は多くのDCGと違い、課金ポイントによってパックを開けるシステムではなく、課金ポイントでカードを作成できる”ワイルドカード”を購入することでカードを揃えられる。なので作りたいカードさえ決まっていれば、かなり安価に済ませることができるのだ)。


 もちろんプレイリワードやログインボーナスでもかなり気前よくカードやカード作成リソースが貰えるので、課金しなくてもそこそこプレイすることは可能だが、最高レアリティのチャンピオンを課金なしで集めるのはなかなか骨が折れるので、ランク戦に手を出すなら少額でいいので課金して強めのデッキをひとつ組んでみたほうがいいかもしれない。


 現状の環境はビートダウンデッキ、コンボデッキ、コントロールデッキが三すくみを形成しており、そのどれかひとつを持っておけばこのゲームは十二分に楽しめる。


■モバイル版もiOS/Android共に5月1日にリリース。いざ『ルーンテラ』の世界へ
 ルーンテラはPC版であれば誰でもプレイ可能。モバイル版はiOS/Android共に一般リリース日である5月1日からの配信を予定している。


 カードプールも増え、これからより盛り上がっていく『ルーンテラ』。カードゲームプレイヤーも、『リーグ・オブ・レジェンド』プレイヤーもぜひ一度プレイしてみて欲しい。(カードゲーム芸人)