2020年04月30日 19:41 リアルサウンド
新型コロナウイルスの拡大を受けて、イベント自粛が相次ぐ中、注目され始めているのが「オンラインフェス」だ。
(参考:『ハリー・ポッター』の世界や東京の街並みまで完璧に再現 『マインクラフト』で隆盛する”再現文化”)
米国・ネバダ州で実施予定だった『バーニングマン』もバーチャル開催するというステートメントを発表。日本でも秋葉原のクラブ・MOGRAがTwitchチャンネルを利用して、無観客状態のクラブ、ライブハウスから各アーティスト自宅や所有スタジオへ配信を繋げてイベントを実施した『#MU2020』など、ただ自粛するのではなく、この現状だからできる新しい体験へと舵を切るイベントが増えてきた。
そんななか、世界的な人気を誇るサンドボックス型クラフトゲーム『マインクラフト』内で参加できるオンラインフェスも海外では増加。3月には、Porter Robinson主催のフェスをオマージュしたイベント「Second Aether」の開催や、100 gecsが主催する『SQUARE GARDEN』など、様々なアーティストが自主的にイベントの輪を広げている。
デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏は、従来の配信とは違うマインクラフト内でイベントを行う利点についてこう語る。
「今までだとYouTubeライブや Twitch、Instagramのライブ配信を行うことが多かったと思いますが、マインクラフトで行うと、自分がアバターになれることで、普段できない格好でイベントを楽しんだり、同じ空間内で参加者同士が気軽にチャットが楽しめるという、SNS的な楽しみ方ができます。配信サービスを介さずともイベント空間内にも音楽が流れてきますし、アーティスト本人もアバターとなって登場するなど、非日常な空間を楽しむことができることも体験として大きいと思います」
さらにマインクラフト内のフェスの様子をTwitchで配信したり、Discordにサーバーを立ててチャットを展開し、そこで投げ銭ができるようにするなど、間口を広げて、マインクラフトをプレイしていない人でも楽しむことができるフェスもあるとジェイ・コウガミ氏は語る。
また、同氏は「今後はこういったフェスが増えるのでないか」と予想したうえで「例えば背景や建物を作れる人が協力して、東京ドームをマインクラフト内に作り、アーティストがライブをする、ということも可能かもしれません。ミュージシャン、DJはもちろん、ゲーム実況の方も参加することが出来そうですし、ゲームカルチャーが好きな人など、別領域の人がライブに参加できるのも魅力のひとつです」と語った。
現状、海外のみでしか実施されていないことについては、「ポスト・マローンをはじめ、マインクラフトのファンを公言しているアーティストが海外は多く、ゲーム実況を行うなどの文化として広まっていますが、まだ日本の中ではそこまで“ゲーム内で音楽のライブをする”というところまではたどり着いていません」とコメント。
だが、「ROBLOXのような、ユーザーが独自のゲームを制作できる自由度の高いオンラインゲームも増えているので、そういったゲームを介してイベントを実施することは増えていくのではないか」とも考察していた。
国内で実施するとなると、権利関係などの問題は山積みかもしれないが、今後も公演の自粛が続くと予想されるからこそ、そこを逆手に取った新たな体験を創造するチャンスや可能性が溢れている。そんなクリエイターたちの新たな挑戦を目の当たりにするためにも、マインクラフトでの“オンラインフェス”に参加してみては。(リアルサウンド編集部)