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Nintendo Switchで『本体/SDカード間のデータ移動』が可能に ゲーム体験はどう変わる?

2020年04月30日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2020年4月14日、Nintendo Switch(以下、Switch)にバージョン10.0.0の本体更新が配信された。アップデートのひとつの目玉となるのは『本体/SDカード間のデータ移動』だ。利便性の観点から待望されてきた同機能。これによりゲーム体験はどう変わるのだろうか。本記事では発売から3年余でようやくの実装となったSwitchのデータ移動機能と、その先にあるゲーム体験を考えていく。


(参考:2画面折りたたみ式の『Nintendo Switch 2』発売か? 海外で複数情報がリーク


・本体/SDカード間のデータ移動が待望されてきた経緯
 Switchはロットや製品バージョンにかかわらず、本体に32GBのストレージを持っている。ここにはシステムデータのほか、ゲームデータやセーブデータといった、ゲーム機としての機能に必要なすべてのデータを保存できるため、microSDカードを用意せずとも一通りプレイを楽しめる仕様だ。ユーザーのなかには本体購入時の出費を抑えるなどの理由から、当面は同カードの購入を見送った人もいるだろう。32GBの容量内で遊ぶ分にはmicroSDカードは必要ない。


 しかし近年ではダウンロード販売によってソフトを手に入れるケースが少なくない。ソフトの保存領域として本体ストレージを利用すれば、32GBではあっという間に足りなくなってしまう。参考に人気タイトルのダウンロードに必要な容量を挙げると、『あつまれ どうぶつの森』が6.6GB、『ポケットモンスター ソード・シールド』が10.2GB、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』が15.7GB、『スプラトゥーン2』が6.1GBとなっている。4タイトルの合計は38.6GB。これだけで本体容量を優に超えるため、Switchを満喫するならばmicroSDカードが必須となるのだ。


 当初は同カードの購入を見送ったユーザーも、さまざまなソフトを遊ぶにつれてその必要性を感じるようになり、やがては購入へと至る。購入後にはデータを整理する作業が待っているが、これまでは保管しておきたいゲームデータを都度microSDカードにダウンロードし直す必要があった。ご想像のとおり、この工程には大きな手間がかかる。「直接データを移動できればいいのに」これが『本体/SDカード間のデータ移動』が待望されてきた背景だ。


 もちろん最初からmicroSDカードを用意していたユーザーにもSwitchを使い続けるうち、データを管理したい場面が出てくる。ちょっとした機能ではあるものの多くのユーザーの利便性に関わるのが、今回のアップデートで実装された『本体/SDカード間のデータ移動』だ。


・『本体/SDカード間のデータ移動』実装でゲーム体験はどう変わるのか
 『本体/SDカード間のデータ移動』実装により、Switchを取り巻く環境はさらに携帯性を高めていくことになるだろう。これまではインターネットに接続された状態でしかおこなえなかったデータの管理が、これからはmicroSDカードを買い足すだけでできるようになる。すでにダウンロード済みのゲームデータを、管理のためにあらためてダウンロードし直す必要もなくなり、プレイヤーは物理的にも時間的にもストレスなくゲームを楽しめるようになっていく。例えば、年齢や住む場所、遊ぶシチュエーションなどの理由により、いつもインターネットにアクセスできるわけではないユーザーもいるかもしれない。彼らが環境を選ばず自由にゲームをプレイできることは、任天堂にとって遊びの理想形とも言えるものなのではないだろうか。


 もとは家庭用ゲーム機として発売された『Nintendo Switch』が、やがて携帯ゲーム機『Nintendo Switch Lite』へと形を変えたように、プレイヤーのゲーム体験も時間や場所に縛られていたものから、より携帯性の高いものへと移り変わっていくのだろう。そこにあるのは誰にとっても自由なゲーム体験だ。


 10.0.0アップデートでは、主に身体の不自由な人へと向けた『コントローラーのボタン割り当て変更』機能も実装された。表面的には利便性だけが大きく取り上げられている同アップデート。その裏側に任天堂の確かな方向性を感じずにはいられない。


(結木千尋)