2020年04月27日 16:31 弁護士ドットコム
「ホテルにいったけど、何もしてない」。陳腐なセリフですが、そのような言い逃れをして逃げようとする男女はあとをたたないようです。弁護士ドットコムには、その配偶者たちから多数の相談が寄せられています。
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相談者の1人はいま、夫の不貞相手に慰謝料を求めています。夫はその女性とホテルの部屋に一緒に行ったことは認めたものの、性行為は否定しているそうです。不貞相手も口裏を合わせ、不貞行為は否定しています。
確かに、ホテルに行っただけでは「決定的な証拠」とは言えないかもしれません。しかし成人がホテルに行って、お話をしていただけ。そんな言い訳は通用するのでしょうか。山口政貴弁護士に聞きました。
「『ホテルに入ったが、何もしていない』という言い訳が通用するほど裁判は甘くはありません。
成人した男女がホテルの同じ部屋に入った上で、ただ休憩しただけ、話をしただけ、という状況は想定しづらいでしょう。経験則上、社会通念から言っても、肉体関係があったとする非常に強い推認が働きます」
今回のように、それでも当事者が「何もしていない」と主張した場合には、どうなるのでしょうか。
「今度は肉体関係がなかったと主張する側が、『肉体関係があった』とする推認を覆さない限り、責任は免れません。
つまり、どんな言い訳をしたところで、配偶者以外の異性とホテルの同じ部屋に入った事実があれば、それだけでほぼ100%不貞行為はあったものとされてしまうでしょう。
もしも不貞を否定し続けた場合でも、他の異性とホテルに行ったことで夫婦関係が悪化したと言える場合には、慰謝料請求ができる可能性もあると考えます。また長期間の別居に至れば、離婚理由として認められることになります」
【取材協力弁護士】
山口 政貴(やまぐち・のりたか)弁護士
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。
事務所名:神楽坂中央法律事務所
事務所URL:http://www.kclaw.jp/index.html