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京都VOXhall、札幌COLONY……相次ぐライブハウス閉店を受けて音楽ファンができること

2020年04月26日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 現在、コロナウイルスにより、全国的にアーティストがライブ活動を自粛している。それに伴い、地元密着型の老舗ライブハウスも営業を自粛することになり、ライブハウスの閉店も相次いでいる。


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 地元のライブハウスというのは文化を育てる土壌のようなところがある。今は人気者になったバンドだって、原点を辿れば小さなライブハウスであることも多い。4月17日に京都のVOXhallが4月末付けで閉店すると発表したときは、くるりの岸田繁は「お世話になりました。くるり、最初のライブを行った場所でした。個人的にも、ライブハウスデビューはVOXhallでした。好きな女の子にチケットあげたけど、来てくれへんかったな。チケット代返してくれ」とTwitterにてコメントし、4月12日に北海道札幌市のCOLONYが4月末付けで閉店することを発表したときは、サカナクションの山口一郎が「僕らを育ててくれた札幌すすきののライブハウスの一つです。悔しい」とTwitter上で発信していた。


 コアな音楽好きでないと知らないようなライブハウスなのかもしれない。だが、そういう地元のライブハウスがあって、そこで切磋琢磨してきたからこそ、若手だったバンドは全国に飛び立つことができたのである。だからこそ、ライブハウスの閉店の報を聞くたびに、悲しい気持ちになる。しかも、この自粛には決まったゴールや区切りが見えない。おそらくは今後、さらに過酷な状況になることが予想されるので、歯がゆい気持ちは大きくなる一方である。


 ただし、アーティストや音楽業界側はただ下を向いて、この事態をやり過ごそうとしているわけでないようだ。COLONYが閉店を発表した夜、山口一郎はCOLONYの店長である小野寺司典氏とInstagramでライブ配信を行った。その配信では、なぜ閉店という決断をくだしたのか、今後どういうアクションを取っていくのか、といったやり取りが行われていたが、基本的に前向きなトーンで今後について話していたのが印象的だった。自粛という現実を受け止めながらも、どうしたら恒常的にライブハウスを中心とした音楽文化を回していくことができるのか。そんな建設的な言葉がかわされているように感じた。


 ライブハウスを支えようという動きは様々な形で表面化している。アーティストが提供する楽曲を集めたオムニバスアルバムをオンラインで販売し、その収益を寄付する「LIVE HOUSE AID in SAPPORO」という試みがスタートした。


 また、toe発起によるライブハウスを支援するプロジェクト「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」も発足。自分が応援したいライブハウスのECストアを検索/選択し、「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19 フォルダ」のアクセス権をダウンロード購入することで各ライブハウスを直接支援することができる取り組みだ。このプロジェクトには、東京事変、the HIATUSやBRAHMANといった名だたるアーティストたちが賛同している。また、ドリンクチケットを前払いしてライブハウスを支援するプロジェクト「SAVE THE LIVEHOUSE」というプロジェクトも立ち上げられた。どのプロジェクトにも共通していえるのは、今できる範囲で価値を提供し、その経済活動を通してライブハウスを支援しようという「前向きな意志」が宿っていることである。


 イチ音楽ファンとして切に願うのは、末永く音楽という文化が残ってほしいということ。そして、その文化の輪の中に、ライブハウスも生き残っていってほしいということなのである。自分よりも若い人たちが「日本の音楽」や「ライブハウスシーン」に少しでも希望を描けるような未来になってほしいから。(ロッキン・ライフの中の人)