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『野ブタ。』修二と彰、どっち派? 15年後の大人たちにも憧れの存在であり続ける2人

2020年04月25日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『野ブタ。をプロデュース』特別編(c)日本テレビ

 2週にわたって放送され、おうちじかんを楽しませている『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系、以下『野ブタ』)。続く第3話、第4話の特別編の放送も決定し、毎週のように修二(亀梨和也)と彰(山下智久)の姿に懐かしさを感じ、再びハマっている人も多そうだ。


【写真】野ブタを見つめる修二と彰


 今、思い出す15年前の教室での話題は、“修二と彰どっち派か”だった。第1話で野ブタ(堀北真希)がトイレで水をかけられるシーンでは、一緒に水をかけられて笑う彰と、「先生くるよ」と言って戦略でいじめを止めさせようとした修二。2人が取った行動は全く違い、どちらも野ブタの味方であることを示していた。「2人の武器が違うというのが見えたシーンだなと思いました」と語るライターの佐藤結衣氏に、亀梨演じる修二、山下演じる彰、それぞれの人物造形の魅力について話を聞いた。


「修二は、自分で鍛錬して作り上げたヒーロー像だなと感じます。自分自身を磨かないと人気者のポジションにはいられないという自覚があって、そのコンプレックスからの努力型タイプ。そして、彰は家がお金持ちで、周りの評価よりも自分自身の軸があって、どちらかというと天然系のキャラクター。自分で作り上げたイメージに近づける修二と、もともとポテンシャルの高さを持っているけどそれを鼻にかけない彰は全くタイプが違って、どちらにも惹かれる部分があると思います。自分で磨いていくのは大変だし、逆に磨かれる前から素敵な人というのも稀有な存在で、その正反対さも彼らの人物像を描く上で特徴的ですね」


 そんな正反対なキャラクターを持つ修二と彰、2人に憧れる理由はなぜだろうか。


「日本人の気質的に、もっと自分を良くしよう、成長したいと考えて、日々の大変なことを乗り越えている人が多く、共感性が高いので、修二は主人公のポジションにいる気がします。自分だけじゃなく、ノウハウを生かして野ブタまでプロデュースして努力を重ねていく姿を見て、憧れを抱く面もあるのではないでしょうか。学生だけではなく社会人でも、自分自身を常にバージョンアップして課題とどう向き合って解決していくのか、プロジェクト立ち上げて、その成功のノウハウを伝授していくような流れは、大人が観ても面白くなる要因な気がします。彰の方は、もともと持っているものが大きくて、尚且つ自分自身がどうありたいかブレないので、周りの目を気にしない自己肯定感の高さは、また欲しいものでもあって。修二のように努力しているけれども、それが本当の自分にとって良いことなのか、周りの声やイメージに踊らされているだけじゃないかと考えたときに、彰のように自分が面白いからこれでいい、自分はこれがしたいと貫ける強さも憧れるものなのかなと。自分の中にあってほしいものの象徴が、2人が持つそれぞれの良さな気がしています」


 当時の放送から15年が経った今、テレビで『野ブタ』が放送されるなんて、誰も思っていなかったのではないだろうか。このタイミングで放送される本作を今観るべき理由について、佐藤氏は次のように語った。


「こうして良質なドラマをもう一度みんなで振り返るタイミングがあるのは、今の状況のありがたみなのかもしれません。『野ブタ』では“何も変えられない”というところから、変わっていく姿が描かれています。15年経ち、私たちもどこか同じように感じていたところがあったように思います。今まで出来上がっていた仕組みの中で、自分はこのポジションで、これくらいの幸せの器と決めて過ごす人が多かった。そんな停滞感を跳ね飛ばし、今の自分の状況から、いくらでも自分の人生をプロデュースできるんじゃないかという気持ちにさせてくれると思います。この自粛期間というタイミングで、ちょっと自分を変えたい人や、色んなことを上手くできていなかったなという人に勇気をくれるんじゃないかなと。筋トレやダイエット、メイクの研究など、センスを磨いたり、各々が今までやってみたかったことやなりたい自分に近づくためにちょっと努力をしてみて、自粛期間が終わって外に出たときに、また新しいことにチャレンジできそうな気持ちにさせてくれる、とても意義のある再放送だと思います」


 修二と彰の姿を追うことで、こんな状況も楽しく生き抜いていく術を、教えてもらうことができるかもしれない。


(大和田茉椰)