トップへ

WEC開幕延期はチャンス? LMHを目指すメーカーに「メリットをもたらす」とシリーズ代表

2020年04月24日 17:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

2021年3月から始まるWECの新シーズンに向けては現時点で、トヨタとスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスの2社がハイパーカーを制作中であることが伝えられている。
WEC世界耐久選手権のCEOを務めるジェラール・ヌーブは、LMHル・マン・ハイパーカーのデビューが2021年3月に遅れることで、参入を目指すメーカーにとってプラスになる公算が大きいと述べた。

 シリーズは当初、2020年9月にLMHをデビューさせる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で、現在の2019/2020年シーズン(シーズン8)を6カ月延長することを決定した。これにより新規定車の登場は2021年3月まで延期されることになっている。

 ヌーブは最近Endurance-Infoに対し、WECが行ったスケジュールの見直しは新車開発への時間的プレッシャーに直面しているLMHメーカーにとって役立つ可能性があると語った。

 その一方、彼は新しいプラットフォームである“LMDh”がWECに入ってくる1年前であっても、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のDPiマシンによって世界選手権のグリッドを強化する必要はないと考えている。

 このグリッドには現在、トヨタとスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)が新しいマシンを置くことを目指しているが、これ以外に何台のマシンがトップクラスに参加するのかは不明なままだ。

「来シーズン(シーズン9)は、LMHがWECの新しいトップカテゴリーになることを歓迎することになるだろう」と語ったヌーブ。

「シーズン9の開始が2021年3月まで延期されたことと、単年で開催される伝統的なシーズンに戻るという事実は、LMHで競争しようと計画している、いくつかのメーカーに利益をもたらすだろう」

「IMSAのDPiメーカーがWECでレースをしたいという意向を表明していないのと同じように、我々もDPiマシンがWECのカテゴリーで他のマシンと競争することになるとは考えていない」

「両シリーズの橋渡しを担うLMDHカーに関する議論は(ル・マン24時間を主催する)ACOフランス西部自動車クラブとIMSAの間で、定期的かつ非常に前向きに続けられている」

「2022年以降に目にすることになる、この新しいプラットフォームの規則はほぼ完成しており近い将来、これについて多くのことを耳にすることになるだろう」

■レース数や、レース時間などすべてが変更になる可能性も

 LMHのビジョンを明確にしている一方、WECのボスは2021年シーズンのフォーマットを変更する可能性に関して、すべてのオプションが開かれている状態であることを示唆した。

 他のカテゴリーやすべてのスポーツ競技と同様に、WECは新型コロナウイルスの大流行によって引き起こされた例外的な状況の影響を強く受けている。

 シリーズは新型感染症による危機のため、今年後半に予定されていたシーズン9の4レースをキャンセルしたが、リスケジュールとなった今季のスパ6時間レースと、ル・マン24時間もまた、ベルギー政府とフランス政府が出した危機対策の影響を受け続けている。

 ヌーブは「まず第一に、すべてがこのパンデミックの前の状態に戻るとは考えられない」と述べた。

「モータースポーツが産業としてもスポーツとしても有効な場所を占め続けることは間違いないが、私たちがイベントを組織・運営する方法は確実に変化し、進化していくことになるだろう」

「この健康危機とその後の世界経済への影響はしばらくの間感じられ、我々はそれについて詳細に検討する責任がある」

「私たちはこの時間を使って、ビジネスのあらゆる側面と、異なる方法で何ができるかを検討していく」

「シーズン中のレース数や週末のレースの長さ、どのようにイベントを運営するか、これらのすべて領域で(これまでと)異なるフォーマットを取る可能性がある」

「これについては毎シーズンの終わりに再評価を行い、社内やシリーズに参戦するチーム、メーカー、パートナーと話し合って決定していく」