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『ゴールデンカムイ』アシリパは杉元に恋心を抱いているのか? 二人の関係性を振り返る

2020年04月24日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『ゴールデンカムイ (11) 』 野田サトル 著

 『ゴールデンカムイ』238話では(『週刊ヤングジャンプ』2020年21号)遂に江別へ到着!とはならず、着岸前にまさかのトラブル。船上での戦いは、少々度が過ぎてしまったらしい。


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 終戦し、やっと緊張状態から解放されるかと思いきや……そこで杉元はあることを提案。刺青人皮の新たな情報を手に入れ、彼は何を思うのか? 土方らや第七師団より遅れをとっている一同だからこそ、ここは慎重な判断をゆだねられるだろう。


■アシリパにとって杉元の存在とは?


 常に冷静さを欠かない杉元に対して、白石やアシリパの信頼は厚い。特にアシリパにとっては、杉元がかけがえのない存在であることに間違いはないだろう。果たしてそこに恋愛感情を含んでいるのか、はたまた旅人としての相棒なのか、真意は明らかになっていないのだが。


 はっきりとした年齢は明かされていないものの、年頃の少女であるアシリパには杉元を意識するようなシーンが多々見受けられる。初めて祖母であるフチに彼を紹介した時「この子を嫁として貰ってやって」という言葉を、正しく杉元へ伝えなかったのは印象深い。顔を赤らめて「オソマ食べちゃだめだって」と嘘の通訳をするチャーミングさ。まだ出会って間もない頃の出来事だが、彼女のウブな、少女らしい一面が垣間見えたエピソードである。


 まだこの時点では“意識している”ことに確証はなく、アシリパの性格上、誰にでも分け隔てないだけではないか?という解釈もあった。杉元がケガをすれば心配し、勝手な行動を取れば怒る。彼を思いやった上での言動だが、旅をするただの相棒でも、このくらいの感情は芽生えるだろう。彼女の気持ちとしては、分からず終いの部分が多かったように思える。


 だが読者が確信を持ち始めたのは、杉元の金塊探しの目的に、女性が絡んでいることをアシリパが知ったときではないだろうか。言葉に出来ない表情を浮かべ、その後気を紛らわせるかの如く話題を変えてきた彼女。まだ本人も、自分の恋心に気づいていないのかもしれない。それが恋なのかさえ、理解していないという可能性もある。見ていて非常にもどかしくもあるが、二人の言い表せない関係性に少女漫画以上のトキメキを感じるのは……筆者だけだろうか?


■二人の関係は物語に影響を与えるか?


 蒸気船の旅は終わり、杉元一派は新たなるステージへ足を運ぶ。刺青争奪戦では不利な状況に立たされているが、一発逆転を図る方法はあるのだろうか?


 いずれ刺青人皮の新情報は、他の方面へ漏れ出すことだろう。恐らく金塊を巡る争いは、更なる激しさを増すはずだ。そんな状況の中、アシリパと杉元の関係性はどう変化していくのだろうか?


 もしかすると二人が“旅の相棒”でなくなる日は、そう遠くないのかもしれない――。


■たかなし亜妖
平成生まれのサブカル系ライター。ゲームシナリオライターとしての顔も持つ。得意技は飲み歩きと自炊。趣味はホラー映画鑑賞。