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三陽商会、身売り提案の米ファンドによる経営陣刷新案を拒否

2020年04月23日 14:42  Fashionsnap.com

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ギンザ・タイムレス・エイト(2019年9月撮影)
三陽商会が、大株主である米国の資産運用会社RMBキャピタルが5月下旬に開催予定の株主総会に提出する経営陣刷新案について反対を表明した。三陽商会は2020年度まで4年連続で最終赤字に陥り、今月にはトップを含む取締役の新人事を発表。また、新たに掲げる再生プランを迅速に進める準備を始めたばかり。一方でRMBキャピタルはかねてより三陽商会に身売りを提案しており、株主総会でRMBキャピタルの議案が仮に承認された場合、身売りの可能性が高まると見られる。
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 三陽商会の新人事では、アパレル事業の再建に知見を持つ現副社長執行役員の大江伸治氏を新社長に任命。現代表取締役社長の中山雅之氏は副社長に降格になる。また、取締役会長の中瀬雅通氏のほか、前代表取締役社長兼社長執行役員の岩田功氏を含む5人の取締役解任を計画。社外取締役は、東急百貨店取締役相談役の二橋千裕氏を含む6人を新任する方向で調整している。
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 RMBキャピタルによる提案では、新社長に就任予定の現副社長執行役員 大江伸治氏をはじめとする現役員3人のほか、RMBキャピタルのパートナー細水政和氏やクラシエホールディングス元社長の小森哲郎氏を取締役に推薦しているが、現社長の中山雅之氏は含まれておらず、事実上の退任を要求している。
 三陽商会はRMBキャピタルの議案について、候補者のうち2人に取締役就任の意思がなく、再生プランを確実かつ迅速に実現することは非常に困難だと主張。また、RMBキャピタルの細水氏の取締役選任は、三陽商会の売却だけではなくRMBキャピタルが三陽商会を自ら買収する可能性を示すことから、利益相反関係が生じると指摘。一般株主の利益保護の観点からも適切ではないと述べている。
 三陽商会はRMBキャピタルから身売りを提案する書簡を受け取ってから水面下で交渉を続けたが、共に譲歩しなかったと見られる。5月の株主総会ではプロキシー・ファイト(委任状争奪戦)に発展する可能性も浮上している。
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