モータースポーツが活動中断を余儀なくされている間も、ニコ・ヒュルケンベルグは世の中の動きに注意を払っている。2021年のF1復帰を目指すヒュルケンベルグは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが収束したときに交渉を開始するため、態勢を整えているという。
32歳のヒュルケンベルグは、2019年シーズン末にルノーのシートを失い、今季はF1から離れている。ルノーはヒュルケンベルグに代わってエステバン・オコンを起用した。
表彰台に上がることなく最も多くのグランプリに出場したという不名誉な記録を持つヒュルケンベルグは、現在居住地であるモンテカルロで安全に過ごしているが、パンデミックにより、やはり活動は休止状態となっている。
「午後10時から午前5時までは外出禁止令が出ているんだ」とヒュルケンベルグはドイツの『Auto Motor und Sport』に語った。
「とても厳重に監視されていて、僕も以前に警告を受けたことがある。スーパーと薬局しか開いていないんだ。やることが何もない」
「日中は出かけることができて、日差しの中で散歩したり、くつろいだりもできる。だけどそのうちに市内のどの通りも歩き尽くしてしまう」
「できることはひどく限られている。でもフランスのように、パスがなければ動き回ることができないというほど厳しくはない。モナコではそういったものは必要ないんだ」
■トレーニングを継続しつつ、チャンスを待つヒュルケンベルグ
自粛生活中ではあるが、ヒュルケンベルグは体調の維持に努めている。ただし、トレーニングは昨年までのように激しいものではないという。
「今でもトレーニングはしているよ。もちろん、レースに出ていたころほど激しいものではないけれどね」
「この6カ月間、少しリラックスして、少しばかり人生を楽しんだ。ワインをグラス1杯飲んだり、よく食べたりとかね。そのため、体重が普段より2、3キロ増えた」
「とはいえ身体の調子を維持できていないというわけではない。最近やってみたけれど、ランニングも問題ないよ。もちろん今はプレッシャーはない。いずれにしてもこの6カ月の間にレース活動を行わないだろうことは分かっていた」
「だから、もう少し楽に考えるようにしたんだ。僕にとって今は、方向性を見定めるための期間。すべてのことを観察しつつ、それでも単純に、やりたいと思うことをやっていく。コロナウイルスのせいで、それも限られていはいるけどね」
この休止期間が、ヒュルケンベルグが目指すF1復帰という課題にどう影響するのかは分からないと彼は言う。
「何もかもが正常なリズムから外れて、バランスを失っている。ストーブリーグについて言えば、今は交渉は全く行っていない」
「レースがなければ、誰だってポジティブなスタンスもネガティブなスタンスも取れない。僕らは宙ぶらりんの状態にある」
「現状では、すべてが推測にすぎない。どんなカードが出るかを予測することは不可能だ」
「誰にとっても初めてのシチュエーションだ。シーズンが始まれば、多くの疑問が持ち上がってくるだろう。調子を整えて、状況を見極め、適切な場所に適切なタイミングで行けることを望むことしかできない」
「今の僕らには何もできることがない。世界が再び回り始めたら、何が起きるのかが見えてくるだろう」
「まだ今年は始まったばかりだ。今シーズン、グランプリを全く開催できないなんてことは想像できないよ」