2020年04月22日 09:51 弁護士ドットコム
新型コロナウイルス対策に、災害時の法制度を活用するべきだーー。東日本大震災など災害時に復興支援にたずさわってきた有志の弁護士7人が4月16日、「災害対策基本法等で国民の生命と生活を守る緊急提言」をまとめた。
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賛同する弁護士は124人集まり、提言は安倍晋三首相や関係省庁、主要政党などに郵送した。
発起人の一人である勝田亮弁護士は、「休業補償もしないで休業要請をすれば、中小企業は倒れる。そうすると労働者が解雇されて、雇用不安が増していく。一つの雇用維持の方策として、災害時の特例を使えるのではないか」と話した。
提言は、(1)市民に自宅待機を求める、(2)感染確認地域などを「警戒区域」に設定して、特定の者以外の立ち入りを制限する、(3)休業中にも失業給付を受けられる「雇用保険の特例措置」を活用する、の3点。
(1)、(2)は新型コロナウイルス感染拡大を災害対策基本法の「災害」と認定、(3)は激甚災害法の「激甚災害」と認定した上で、それぞれの法律に基づく制度を活用するというものだ。
災害対策法では、「災害」は「暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象または大規模な火事もしくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害」と定義されている。
さらに、政令で「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故」が追加で定められている。
勝田弁護士は「世界的、全国的に蔓延している状況を考えると、新型コロナウイルスも異常な自然災害と考えられる」と政令レベルで感染症などを加えられるのではないかと指摘する。
勝田弁護士は、中でも(3)の「雇用保険の特例措置」を早急におこなう必要があると話す。
東日本大震災の時には、事業所が休業したり一時的に離職したりした人に対して、実際に離職していなくても雇用保険の失業手当を受給できる措置が取られた。2019年の台風19号など災害時にも同様の措置が取られている。
勝田弁護士は「新型コロナウイルスを災害と認定することが目的ではない」とした上で、「日本は感染症の対策ノウハウは薄いが、災害に対してはこれまで色々な対策をとって来ている。それを使わない手はない」と活用を訴えた。