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店舗を再開するために必須のモノと注意すべきコトは?コスト面が課題

2020年04月21日 21:32  Fashionsnap.com

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で臨時休業が相次ぐアパレルショップですが、ニューヨークでは最悪期を脱するなど回復の兆しも見えてきています。中国では、武漢市が1月23日に封鎖措置を実施したことを皮切りに続々と店舗を閉鎖していたブランドも営業を再開。「バーバリー(BURBERRY)」は64店舗のうち閉鎖していた24店舗を3月19日の時点で営業再開したほか、2月から臨時休業していた「エルメス(HERMÈS)」も現在ではほとんどの店舗が営業しています。4月11日に広州市に移転オープンしたエルメスの旗艦店には多くの客が来店するなど賑わいを見せています。LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン グループでも中国国内の店舗の営業を3月後半から徐々に再開し、4月上旬の段階で客足が戻りつつあります。
 日本国内では、専門家の試算によると人との接触機会の8割削減が実現できれば1ヶ月程度、7割減であれば2ヶ月弱で感染者の減少を確認できる状況になると言われており、収束後に揺り戻しの消費が爆発的に増加する可能性も十分に考えられます。ショップを再開するときに必要なものと措置、そして来店者が買い物をする上で注意すべき点とは?
>>緊急事態宣言受け百貨店や商業施設が「当面の間」臨時休館、ルクアなど大阪の店舗も

消毒液はスタッフ、顧客用共に必須
 まずは店舗スタッフが着用するマスクや、店頭に設置するアルコール消毒液は必須となるでしょう。アルコール消毒液で一般的に多く出回っている噴霧器の1回の噴霧量は0.14ml前後。容量が1,000mlの消毒液を設置したとすると、1人1プッシュでは約7,140回の使用が可能となります。行き帰りで消毒することを想定すると、1つの消毒液でおよそ3,500人の来店客に対応できるため1日当たりの平均来店者数を考えた上で数ヶ月は備蓄しておきたいです。ただ、京都大学の山中伸弥教授は京都新聞の取材に対して「最低1年は覚悟しないといけない」と収束の見通しを回答するなど、専門家の間では事態がさらに長期化する見方も出ているため、長期的な視野での量を確保することが必要になってくるかもしれません。

什器の消毒もこまめに 接触する部分を減らす工夫も
 また、接触感染を防ぐための有効な対応策として、来店者が商品や什器に直接手を触れずに買い物を済ますことができる体制を整えることも大切です。非接触型消毒器を店内の複数箇所に設置することで、来店者が商品を触った前後で小まめに消毒できる環境を作ったり、来場時に使い捨て手袋を配布し着用を促す、晴天時は自動ドアボタンに触れずに済むよう開けっぱなしにするといった方法もあります。
 新型コロナウイルスはステンレスの表面には48時間、プラスチックの表面には3日間残存する可能性があると医学雑誌「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」に掲載された論文で発表されています。ドアノブやマネキン、ハンガー、ラック、階段の手すり、エレベーターのボタンなど不特定多数の人が触るものをこまめに除菌するほか、使い捨てが難しい什器については紫外線消毒装置を設置するなどの対応が必要です。衣類の繊維の中にもウイルスが残存する可能性があると言われているため更に徹底して対応するのであれば、来店者には商品のサイズ感の確認や試着のみに留めてもらいECでの購入を促すことで感染拡大のリスクを下げることができます。この他にも、商品の入った段ボールにもウイルスが付着している可能性があるので、納品業者からの受け取りにも除菌対策が必要になってきます。

意外な危険スポット「フィッティングルーム」と「レジ」
 盲点としてあげられるのがフィッティングルーム。約90センチ四方の広さのフィッティングルームが設置されている場合が多く、ドアを閉めるとかなりの密閉空間。室内で咳やくしゃみをした場合、ウイルスは空気中に最大3時間留まり続けるという研究結果も出ており換気がない場合は要注意な場所として認識すべきでしょう。室内に手指用消毒液を設置するだけではなく、試着後は室内用除菌スプレーを使用する、換気のため次の客を案内するまで一定時間の間隔を開けるといった対応を取ることが必要になってきます。また、試着室内で咳エチケットに配慮してもらうなど来店者への協力を呼びかけることも必要です。この他にも、会計時に使用するクレジットカード端末や会計時の受け皿の消毒を徹底するほか、現金の受け渡し頻度を減らすことができるよう電子決済システムを導入しておくことも有効です。
 マスクや消毒液等の調達から、感染リスクを避けるための動線作りの徹底までコロナ以前の営業とは大きい転換が必要です。コスト面での影響も避けられないため、営業再開のタイミングを費用対効果を考えた上で見極めることが今後は課題となりそうです。
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