800ccの時代にエンジンマネジメントシステムの開発が飛躍的に進んだこともその一因といえるだろう。このころから6軸センサー(3軸ジャイロ+3軸加速度)を用いた車両状態推定(Vehicle State Estimation)により、精度の高いトラクションコントロールやウィリーコントロールなどのシステムが次々に投入され、MotoGPマシンは大げさにいえば、市販スーパースポーツ並みに乗りやすいレーシングマシンに変貌を遂げていたのである。
キタさん:北川成人(きたがわしげと)さん 1953年生まれ。1976年にヤマハ発動機に入社すると、その直後から車体設計のエンジニアとしてYZR500/750開発に携わる。以来、ヤマハのレース畑を歩く。途中1999年からは先進安全自動車開発の部門へ異動するも、2003年にはレース部門に復帰。2005年以降はレースを管掌する技術開発部のトップとして、役職定年を迎える2009年までMotoGPの最前線で指揮を執った。写真は2011年のMotoGPの現場でジャコモ・アゴスチーニと氏と会話する北川さん(当時はYMRの社長)。左は現在もYMRのマネージング・ダイレクターを務めるリン・ジャービス氏。
※YMR(Yamaha Motor Racing)はMotoGPのレース運営を行うイタリアの現地法人。