FIAとリバティ・メディアは、少なくとも2020年F1ヨーロッパラウンドに関しては、全レースを無観客で行う意向のようだ。マクラーレンのザク・ブラウン代表は先週、英国BBCのインタビューで「1日も早い開幕が重要だ」と語った。現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、序盤9戦が延期あるいは中止となっている。
「少なくともイギリスGPは、予定された7月中旬の開催が可能だ」とブラウンは言う。
「ただし観客やスタッフの安全を考えて、無観客で行われることが望ましい。ヨーロッパの他の全レースも、今季はその形態でやらざるをえないだろう」
チーム代表とFIA、リバティ・メディアが集まって行われた先週の会議の内容が少しずつ明らかになりつつある。無観客レースになることで入場料収入がゼロになるのは主催者にとっては大きな痛手だが、たとえばスペインGPを主催するカタルーニャサーキットのプロモーターは、「それでも、スペインGPが開催されることを望む。国境の閉鎖が解けさえすれば、無観客での開催は完全に可能だ」と、地元紙のインタビューに答えている。
ただしスペインは、イタリアと並んでヨーロッパ内でも最も深刻な被害を受けている国であり、収束はまだ当分ないとみられている。
チーム代表たちも、無観客レースという形でできるだけ早くシーズンをスタートすることを熱望している。すでにウイリアムズなどのプライベートチームは、財政状態が日に日に悪化している。レースが1日も早く、そして1戦でも多く開催されることで、TV放映による配給権料とスポンサー収入を何とか確保したいと、彼らは切実に願っているのだ。
一方で取材記者やフォトグラファーたちが狭いパドックで押し合いへし合いになる事態は避けるため、取材はTVクルーだけに限ることになるようだ。とはいえTVクルーにしても、たとえば英国スカイTVだけでも60~80人単位の大所帯であり、こちらもレースあたり1局に制限する方針だという。現地取材が許されない新聞雑誌、ネットメディアに対しては、リバティ・メディアやチームからインタビュー音声と写真が無料で提供されることになる。
その場合、サポートレースのFIA-F2、F3選手権に関しても、同じ措置が取られるという。