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コロナ売上減の「富士そば」、シフトカット分の給与を全額補償…組合の要望に応える

2020年04月17日 17:12  弁護士ドットコム

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新型コロナウイルスによる経済活動の停滞によって、全国の飲食店が休業や時短を選び、従業員は減収にあえいでいる。


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飲食店ユニオン(首都圏青年ユニオン飲食業分会)は4月17日までに、大手立ち食いそば「富士そば」を経営する株式会社ダイタンキッチンに対して、シフトカット分の給与補償を求め、団体交渉を申し入れた。



富士そばで非正規雇用者として働くユニオンの組合員らが17日、会見して、団交によってシフトカット分の給与全額補償が認められたことに一定の手応えを報告した。一方、感染拡大地域の休業は認められず、全国の飲食店従業員には不安も残っている。



●「売上減」富士そばで行われたシフトカット

今年1月から富士そばの店舗で調理・接客担当として働くパートの50代男性は、当初は時給1100円で1日8時間、週5日(40時間)働いていた。月収は17~18万円。



しかし、2月末になると、新型コロナウイルスによる売り上げ減少を理由として、会社からシフトカットを指示される。「平日は1日4時間、土日は1日6時間まで減らされ、収入は10万円を切りました」。



●団体交渉に富士そばは誠実な回答

加盟した飲食店ユニオンによる団体交渉申し入れは4月14日からスタート。富士そばへの主な要求事項は2点となる。



1点目は、従業員の感染リスクを避けるため、雇用調整助成金の活用と従業員の給与の全額補償を前提とした感染拡大地域の富士そば(全店)の当面の間の営業停止。



調理場は狭く、従業員間でソーシャルディスタンスを取るのは困難。また食券の受け渡しや、カウンターで食事する客の咳やくしゃみで飛沫をかぶることもある。従業員の間では、「コロナで死ぬか、経済的に植えて死ぬかどっちかだな」という話もされていたという。



2点目は、コロナの影響による売り上げ悪化を理由としたシフトカットが行われ、また今後も行われる見込みであるが、シフトカットされた分についての給与を全額補償すること。



男性がシフトカットを命じられた当時、その分の給与補償の話はなかった。



この要請について、富士そば側は4月15日、シフトカットした分の給与と、今後シフトカットする分の給与について、組合員に対しては全額補償すると回答。



飲食店ユニオンの栗原耕平事務局次長は「富士そばさんには誠実な回答をいただいたと思う」と一定の評価を見せる。



一方で残る課題もある。17日、非組合員も含めた従業員の給与補償、復帰後のシフト保証を前提とした雇用調整助成金を活用した営業停止を改めて会社に求めた。



●全国の飲食従業員から寄せられる不安

ユニオンには、富士そばも含め、すでに新型コロナ関連の労働相談が44件寄せられ、そのうち38人は非正規労働者からの相談だ。休業手当の相談や感染リスクへの不安に集中している。



たとえば、20代パート女性からは「コロナの影響で3月からシフトが減らされ、社員には休業手当が出るが、パートは有給休暇を使うしかない」と相談があった。



栗原氏は非正規差別の存在が根強いと指摘。「飲食の店舗で働く従業員の80%が非正規労働者です。感染リスクを避けたくても、休んだら雇用が切られる不安もあって働かざるをえない。飲食店でもっともリスクにさらされているのは非正規の労働者です」



「富士そばとの交渉は、休業手当と感染リスク対策について、交渉で変えていけるモデルになりうる」



男性は「減らされた分の給与の全額補償の回答にホッとしている。ただ、営業も停止し、政府の雇用調整助成金制度で休業補償もしてもらいたい」と話す。



リモートワークが推奨されているが、どうしてもできない仕事はたくさんある。飲食業界の従業員もそうだ。「今も電車通勤しています。店では感染したり、感染させる恐れもある。休業補償があって仕事が休めるのであれば家にこもっていたい。仕事終わりに飲みに行くのを楽しみにしていた。そういう生活が戻ってほしい」



●飲食店労働者の相談窓口

飲食店ユニオンは18日から「飲食店で働く労働者のためのコロナウイルス関連労働相談ホットライン」を実施する。



【開催概要】 日時:4月18日(土)午後1時~午後5時、4月19日(日)午後1時~午後5時 ホットラインの電話番号:03-5395-5359 相談無料