歴史ある人気RPG『ファイナルファンタジー』シリーズ。そのナンバリングタイトルの中でも特にファンに愛されていた『ファイナルファンタジーVII』(以下:FF7と表記)が発売されたのが、1997年。僕はその当時、小学6年生だった。
はじめてゲームのプレイ画面を見たときには、本当に舌を巻いた。3Dで表現されたキャラクターが、綺麗な背景の手前から奥に移動するだけで、どんどん小さく遠ざかって見えるのだ。2Dグラフィックスに目が慣れていた世代なので、この進化はまさに革新的だと感じた。
加えてBGMもこれまでとは別次元の奥行きになっており、「ゲームがこんなにすごくなるとは」と寝食を忘れてプレイした。
その『FF7』のリメイク作が4月10日に『FINAL FANTASY VII REMAKE』(以下:FF7Rと表記)としてリリースされた。ところが本作、『FF7』のリメイクではあるものの、オリジナルで言うところの序盤も序盤、ミッドガルでの大立ち回り編までしか収録されていない。1作で完結しないのだ。そのうえで価格は8980円(税別)ということで、僕の周りの同級生たちの中には「ちょっと見送るわ」という者も多かった。(文:松本ミゾレ)
待ち望んだリメイク、出来上がったものが分作ってのはちょっと…
僕は一応、発売直後に『FF7R』を購入している。しているが、まだ遊んでもいない。ちょうど『Fallout76』の大規模アップデートと重なったのもあるが、なんだかやる気がしないのは、やっぱり序盤のストーリーまでしか収録されていないことが大きい。
購入者の中にはもうクリアーしてしまったという人も多い。もちろんやりこみ要素めいたものは多数あるんだろうけど、やりこみ要素に尺を割く必要性が果たして『FF7R』にあったのか。
ここについては長い間リメイクの噂が流れたり、具体的なスケジュールが決まったとアナウンスがされたのに、いつの間にか数年単位で続報が見られなくなった経緯もあわせると甚だ疑問だ。
分作について違和感を提示したくなる要素はもう一つある。ゲーム情報サイト「IGNjapan」が4月10日に公開した記事には「リメイク版は全体の(ストーリー進行度合いの)10~15%しかカバーしていない」という部分がある。
たしかにミッドガル脱出までなら、そのぐらいの進行度しかないと思えるところ。さらに同記事では「クラウドにもう一度会えるまでに少なくとも2年はかかるのでは」ともしている。気が長くなるような話だ。でもまあそうなんだろうなぁ。
せめて今後の発売スケジュールを明らかにしてほしい!
『FF7』リメイクの具体的な話が立ち上がったのは、今からもう5年も前のこと。2015年6月に北米のE3で大々的にリメイクを発表し、大反響があったということは、僕も当時ニュースサイトを見て知った。そして同年12月には本作リメイクが分作でリリースされることが明らかになった。
ところが2018年、スクウェア・エニックスが『FF7R』を開発するにあたってのスタッフ募集を開始する。このとき僕は「おいおい、もう3年も待ってるのに今ごろかよ」とガッカリした。
最初はプレステ3でリメイクされるらしい、という噂があったが結局は後継機種であるプレステ4の台頭まで待たねばならなかった。この辺のモヤモヤについては、『FF7R』発売に以前から期待していたファンなら身に覚えもあることだろう。
その"ぬかよろこび"の要因となっていたのが、スクウェア・エニックスが2005年に公開した、PS3で動作する技術デモ映像として公開した『FF7』のオープニングである。これを見たことでPS3を購入しちゃったという気の早い人、結構いたはずだ。
まあ、なんにせよ分作としての第1弾は発売されたわけなので序盤の雰囲気だけは楽しめることだろう。でも本来、こういう分作商品ってもう少しスケジュールを明らかにしておくべきものじゃないんだろうかと思う。
ミッドガル編だけでフルプライスってのもアレだし。下手をすれば今後は「チョコボ牧場編」、「ジュノン潜入編」、「コスモキャニオン編」、「古代種の神殿編」……みたいなリリース展開になるんじゃないかって不安になる。せめて開発側も、その辺について早めにアナウンスしてくれると嬉しいんだけど……。
このままでは北の大空洞に突入するまでに、オリジナルを遊んだ世代がみんなゲームなんかできない年齢になっちゃってるかもしれないぞ。