ニッサン・e.ダムスからABBフォーミュラE選手権に参戦するオリバー・ローランドは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)のような人々はジュニアランクでのレースにかかる費用について不満を唱えはするものの、状況を変えるためには何もしないことに多少腹を立てているという。
昨年ハミルトンは、ジュニアレベルのモータースポーツチャンピオンシップにおける費用の高騰が、将来の世界チャンピオン候補者たちの障壁となっていることについての懸念を明かした。ハミルトン自身も労働者階級の家庭出身であり、初期のカートレースの資金を工面するために彼の父親が仕事を掛け持ちしてくれたおかげで、レースでのチャンスをつかめたのだった。
ハミルトンは、モータースポーツのジュニアおよびミドルレベルへの参戦コストが、彼と同じような環境出身の才能あるドライバーたちのやる気をいかに削いでいるかについて憂慮している。そうしたドライバーたちには、重要な一歩を踏み出すのに必要な資金を出せる裕福な家族がいないのだ。
イギリスの有力な強豪カートチームの共同所有者であるローランドは、6度の世界チャンピオンであるハミルトンの評価に同意し、過去に若いドライバーの活動を助けるために個人的に金銭的な援助をしたことを認めた。
しかし元ウイリアムズのジュニアドライバーであるローランドは、彼自身よりはるかに多くの財力を持つ人たちにも同じことをして欲しいと考えている。
「カートチームを運営するためにどのくらいのコストがかかるのか、僕は直接知っている」とローランドは『Inside Electric』のポッドキャストで説明した。
「より多くのコストが発生するからチームをなくすべきだと人々は言う。でも同時に、ドライバーが単独でいるよりはるかに早く成長させるためのパッケージをチームとして提供できる」
「特にイギリスではとても質の高い草の根カートが根付いていて、彼らはとても早く優れたドライバーになる傾向がある。だからとても難しいんだ」
「僕自身、何人かのドライバーのスポンサーになったり、支払いを助けてきたし、できる限りの方法で支援してきた」
「僕はトップのF1ドライバーたちと同じレベルにはない。でも、実力があるのに金銭的な援助なしでは次のレベルに進むことができないと僕が考えるドライバーたちに、資金を出している」
「そういう状況について誰かが会見で言っているのを見かける。彼らも同じことをできるんじゃないかな」
ローランドはハミルトンを例に挙げ、メルセデスのスターである彼は、若い才能の持ち主たちの活動を援助することに関して、口先だけで何も行動に移していないと考えている。
「そうした状況について不満を言う人々はいるが、実際彼ら自身は何もしていないことに少々腹が立つ」
「たとえばルイスは、数カ月前に人々にはモータースポーツの草の根活動が必要だとかそんなことを言っていた」
「もし彼が並外れた好成績を上げている3、4人のドライバーのために支援者として名前を出してくれたら、彼らにスポンサーを引き寄せる助けになる。それに、そういうことをしても実際に彼にはまったく費用はかからない。それは彼らにとって多少のスポンサーシップを生み出す方法のひとつになる」
「誰かを支援するためだけに、彼はスポンサーに掛け合うこともできたし、彼らと一緒にミーティングに行くことだってできただろう」
「彼は数十万というカート予算をあっという間に生み出すことができただろう。ところが、彼なしで何かを手に入れるのは誰にとっても非常に難しいことだ」