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ETRC:欧州を代表するトラック・レーシング・シリーズも開幕戦に続き第2戦イタリアを延期に

2020年04月15日 12:31  AUTOSPORT web

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ヨーロッパの物流従事者を中心に絶大なる人気を集めているETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ
FIAの欧州各式選手権であり、ヨーロッパの物流従事者を中心に絶大なる人気を集めているETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ。その選手権オーガナイザーを務めるヨーロッパ・トラック・レーシング・アソシエーション(ETRA)は、4月末の開幕戦ハンガロリンクに続き5月末の第2戦イタリア・ミサノも延期することを発表した。

 アジア域内のみならず世界全体での新型コロナウイルス(COVID-19)の症例数増加と移動制限に加えて、大勢の観客動員とファンの観戦が主たるプロスポーツイベントの開催制限を含む、ウイルス拡散防止と抑制のために課された欧州各国措置に照らし、ETRAはすでに3月初旬時点で、4月25~26日に開催を予定していた2020年開幕戦を延期する措置を取っていた。

 このハンガリー戦はもともとWTCR世界ツーリングカー・カップとの併催イベントが予定されており、延期決定後もあらゆる努力のもとで併催継続の可能性が探られてきたものの、新しい日付で適切なスロットを確保することは叶わず。ETRAではFIAの承認を条件として、このハンガロリンクでのレースを6月13~14日の週末にリスケジュールすることを決めた。

 この決定に続き状況の監視を継続してきたETRAだが、4月に入ってからの数日で世界の状況を見極め、5月23~24日に予定されていた第2戦イタリア・ミサノでのラウンドもキャンセルすることを決断。

 イタリアはこのパンデミックでもっとも大きな影響を受けた初期の国のひとつであり、政府は現在に至っても全土のロックダウンを継続する厳しい規制を続けている。5月に向け一部で経済活動再開に向けた動きを検討中とも言われるが、同月末のイベント開催は「現実的に難しい」との判断から、ETRAは同戦の開催を11月14~15日に移動させることとし、FIAに再度のスケジュール申請を行なっている。

 また、2020年シーズンの当初カレンダーで第7戦と最終戦に入れられていたフランスのル・マンとスペインのハラマ・ラウンドも、ACOフランス西部自動車クラブが発表した24時間耐久レース9月移動の影響を受け、それぞれ9月26~27日と10月3~4日の週末を入れ替えることが検討されている。

 コロナウイルス禍の進展により今後の数週間にわたって物事がどのように推移するかは不確かながら、ETRCプロモーターとしては予定する全8戦のカレンダーを維持する意向を示している。

「ヨーロッパ全体でCOVID-19の症例数が増加しているため、FIAや地元のレースオーガナイザーとともにチャンピオンシップのエントラント、スタッフ、観客の健康と安全を守るため、シーズン最初の数レースを延期することを決定した」と語るのは、ETRAでマネージングディレクターを務めるロルフ・ウェルナー。

「我々は今後も関係当局やレース主催者と状況を注意深く監視し続けるつもりだが、2020年シーズンは8つのレースで構成されており、絶対数がそれほど多くないために他のチャンピオンシップと比べても日程変更への柔軟性は高いと言える」と続けたウェルナー。

「もちろん我々の目標は予定されていた8戦すべてのイベントを実行することにある。WTCRとの併催イベントが失われるなどファンにとっては残念な事態も発生しているが、今後も引き続き懸命に可能性を探っていくつもりだ」

 このETRCの主要なファン層となる輸送・運輸業界は、世界的パンデミックの渦中でも主要な産業であり続けており、どの国でも日常生活に必須の食料品や医療機器の供給を維持し続けている。

「そう。参戦するドライバーやチームクルーのなかには、日々の業務として運輸に携わるメンバーもおり、我々シリーズの多くのファンもまた同様だ。この危機を克服したら、彼ら全員が真のロードヒーローとして、そのハードワークを称えあい、祝福するシーズンにしたいと思っている」