新型コロナでパチンコ業界も変わりつつある。最初こそ業界団体の広告自粛要請ガン無視で、パチンコライターを呼んでの疑似イベントやら何やらをやっていたホールが目立っていた。しかし、再三の要請や、特に東京都の小池都知事による営業自粛要請が奏功し、徐々に自主的に休業するパチンコホールも増えてきた。
一部では「パチンコホールは空調にもお金を使っているし、ユーザー同士が密に接触することはない」と主張する声も挙がっていたが、これも最近では聞かれなくなった。
そもそも駅前店となればホール内部は狭く、遊技台間も狭く、当然それで遊ぶ客間も狭い。
しかも知り合いと数人で連れだって遊んでるユーザーなんかどこにでもいるので、簡単に"三密"の状態を再現できていたわけだし、営業の自粛は正解だろう。
そもそも既にパチンコホールで新型コロナに罹患していたユーザーが遊技していたことが報じられていたわけだし。ああいう環境で三密回避の徹底もへったくれもない。
4月8日に政府が布告した緊急事態宣言の対象となった7都府県では、飲食店などと併せてパチンコホールも5月6日までの営業を休止するとアナウンスしている。一時はみんなが外出を自粛し、クラスター感染防止に努めている中、秋葉原などの人気パチンコホールに200人超の列をなしていたパチンコユーザーが批判の的となっていた。
だが、店が閉まっていれば並ぶ人間もいない。これでひとまず安心……と思っていたが、話はそう単純ではなかったようだ。(文:松本ミゾレ)
せめて5月6日まで我慢することはできないのか
普通に考えて、パチンコやパチスロがしたくても近所の店がやっていなければ諦めるものだ。しかしパチンコしか趣味がなかったり、依存症レベルでパチンコをしたいというヘビーユーザーたちは、その"普通"を軽々凌駕する。
11日の晩、テレビを観ていると『新・情報7days ニュースキャスター』(TBS)で茨城県のパチンコホールに千葉県からやってきたパチンコユーザーがいた、という旨のリポートがあった。この報道自体は前日の夕方のニュースでもやっていたようだが、実際のVTRを見たのはこのときが初めて。
「あ、ホントに営業してる店まで遠征しちゃうんだ」と呆れてしまった。まるでイナゴの群れみたいなバイタリティである。茨城県は緊急事態宣言の対象ではないので、そりゃもちろんパチンコホールも開店しているんだけど、わざわざ出向くかね……。
いや、それぐらいパチンコへの執着と依存って怖いものなんだという証左なんだろうけど、せいぜい自粛は1か月。ひとまず5月6日までなので、それぐらい我慢すればいいのに。
この分じゃ5月5日も相当多くのパチンコユーザーが他県に流出しそうで不安だ(ぞろ目の日は根拠なくアツいと、多くのパチンコファンは思い込んでいるので)。
営業自粛を決定したパチンコホールに思う正直な気持ち
しかしまさかこんな事態になるなんて、先月の今頃には予想もしていなかった。そしてまた、実に多くの地域でパチンコホールが休業するとも思っていなかった。
だって東日本大震災のときだって、散々周囲から批判されても営業を続けていたホールは山ほどあったんだもの。それぐらい今回の新型コロナウィルスが危険ということなのだろう。
少し前には他店を出し抜くかのように、自粛を推奨される中で大々的に新台入れ替えの告知を行っていた千葉の某ホールも、今は営業を休止している。マルハンやダイナムなどの大手も、都市部での店舗営業を取り止めて数日が経過した。
こういう状況について、個人的には「パチンコホールも情勢を鑑みて営業休止するんだなぁ」と結構本気で驚いている。正直、軽く感動している。
また大手だけでなく、埼玉県では系列を持たない独立店舗も自主的に無期限での営業休止を選択したという話もある。再開できるかどうか微妙なライン、最悪そのまま閉店の危機もあるという状況下でも店を閉めるという選択は、なかなかできることではない。
それだけに、各パチンコホールのこの文字通りの血のにじむ努力を、普段から「パチンコ屋はぼったくり」とか「あの店は遠隔してる」とか言いながら足しげく通っていた一部のユーザーが無駄にしつつあるのは残念だ。
自分の暮らしている地域のパチンコホールも休止するぐらいの非常時なのだから、そういう状況で「じゃあ他所の地域に遠征だ!」とピクニック感覚で出向くなんて。報道では茨城県のパチンコホールにやってきた他県のパチンコユーザーについて、近隣住民が「不安です」って言ってたけど、まさにそのとおりである。
パチンコが好きだったり、依存しちゃってるのはユーザー各位の勝手だけど、期限付きの営業休止にも我慢できないというのはさすがに治療を受けるべきだと強く思う。他県の人を不安にさせてまで朝っぱらから遊びたいなんて、そんなことは自粛云々関係なく病気だもの。