緊急事態宣言がとうとう出た。対象都府県では多くの店が休業となっているが、もっとも東京都内では再三の都知事からの要請が奏功し、不要不急の外出を控える人も相当数出ている。日本人はこういうとき、なんだかんだ結束するというか、利害をしっかり弁えて行動できる人種なのかもしれない。
しかし中には「本当は外出したくないけど、しょうがなく出歩くことに……」という人もいたようだ。(文:松本ミゾレ)
「なんのためにテレワークしてるんだ」と嘆き
先日2ちゃんねるを見ていると、4月3日付のスレッドに気になるものがあった。「【悲報】ぼく、明後日結婚式参加、無事死亡ww」というものだ。
タイトル通り、スレ主は結婚式に参加しなければならず、さらに本文には「しかも都内。終わった。緊急事態宣言出さないからだよ」と愚痴っている。つまり彼は4月5日に友人の結婚式に参加したと推測されるが、緊急事態宣言の前なので、ギリギリ参加することになった、という感じだ。
その落ち込みは相当なもので「(ご祝儀代)3万払ってコロナかかりに行くのか」と嘆いている。また、自身は現在テレワーク中であるとも書いており「なんのためにテレワークしてるんだ」とも書き込んでいる。
これが普通の遊びの予定とかなら、問答無用でキャンセルできちゃうんだけども、結婚式となると向こうにとっては一世一代の式になるのでそれも切り出しにくい。その後の報告はないので詳細は不明だけど、恐らく参加したのだろう。
「こんな時期に結婚式なんかやめろ」と言いたいけど……
まあ、個人的な意見を好き勝手書かせてもらうと「こんな状況でよく結婚式を強行できるな」という思いである。僕がたとえばこの時期に結婚式をしたいとのたまう知人友人に参加を打診されたら「悪いこと言わないから考えなおしてよ」と言う。
それこそ、都心部での挙式じゃなくたって、過疎地での挙式を予定されていたって今はそう進言する。でもこれも、新郎新婦側にしてみれば苦渋の判断だったのかもしれない。スレ主によると新郎新婦は1年前から挙式を計画していたとのことで、その日を迎えるまでに、綿密な打ち合わせなんかもしていたんだろう。その点は気の毒だ。
それに、結婚式の日にちをずらす、あるいはキャンセルともなると余計なお金が生じてしまう。懐事情は人それぞれだけど、キャンセルはそもそもあり得ないという前提で予定を組んでいた新郎新婦だっているはず。
スレ主の不安も分かるし、結婚式の日取りを改めない新郎新婦側の思いも分かる。しかも結婚式って「それって不要不急の用事だよね」って言いにくいし……。
いや、そもそも誰が悪いかと言えば新型コロナウィルスであって、この新郎新婦はむしろ被害者。だけどもまあ、その被害者が式を今この時期に行うことによって、別の意味での被害者も発生する可能性があるのは事実。
そう考えると、もしも僕が新郎で、4月に結婚式を予定していたんであれば泣く泣く引き延ばすかなぁ。スレッド内にも「俺のいとこも延期したぞ」なんて書き込みがあった。キャンセルで発生する金銭的コストは、もうしょうがない。必要経費と思って割り切るしかない。
どうせなら何の問題もない良き日に、みんなに心から新しい門出を祝ってもらいたいし。このご時世の結婚式って、絶対参加した人たちの心にモヤモヤを付帯するだろうから。今回のコロナはつくづく厄介なものである。