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WTCR:eスポーツ初戦は31名が参戦。M1RA所属のハンガリー人デュオが連勝を飾る

2020年04月09日 16:01  AUTOSPORT web

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元Simレーサーである現王者のルベルト・ミケリス(右)と、彼が主宰するM1RAに所属するゲルゲ・バルディ
WTCR世界ツーリングカー・カップのeスポーツシリーズ"pre-season Esports WTCR"の開幕戦ハンガロリンクが4月6日に実施され、現役WTCRドライバー11名、予選を勝ち抜いたSimレーサー20名の計31名がエントリー。王者ノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR)らを退け、M1RA Esports teamに所属するハンガリー人デュオが連勝を飾った。

 予選を勝ち抜いた上位20名が現役ドライバーとの対戦に向けた『SERVER 1 RACE』への参戦権を得るフォーマットを採用した同シリーズだが、Simレーサーとしてキャリアを開始したミケリスがマット・オモラ(ヒュンダイi30 N TCR)やエステバン・グエリエリ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)らを抑えてWTCRレギュラー勢でプレ・クオリファイ最速をマークし、現チャンピオンの貫禄を示した。

「こうした取り組みにおいて練習に掛ける真剣さと集中力は、そのまま実際のレースでのバトルや勝負強さ、チャンピオンシップでのポイント獲得に反映されてくるものだと信じている」と、シミュレーターの効能を語ったグエリエリ。

「その意味でレース勘を失わないようにするためにも、このシリーズは最適の方法になるだろう。実際のツーリングカーからスキルを得るには、たくさんの時間とコストが必要だ」

「ただしシミュレーターは擬似体験であり、現実とまったくおなじではない。そこに少しだけトリックがあるけれど、僕はこれから学ぶしかない」

 そう語ったグエリエリは公式予選ノータイムで最後尾に回り、現役勢ではオモラの19番手が最上位。15分間の短い予選でフロントロウを確保したのは、Red Bull Racing Esports Hondaのネストール・ガルシアを0.6秒差で下した、地元ハンガリーのM1RA Esports team、ゲルゲ・バルディ(ヒュンダイi30 N TCR)となった。

 レース1のスタートでもホールショットを決めたバルディのヒュンダイi30 N TCRは、3番手からダッシュを決めたWilliams Esports Cupraのモリッツ・レーナー(セアト・クプラTCR)と全周にわたりテール・トゥ・ノーズのバトルを展開。スリップストリームから再三のオーバーテイクを狙ったレーナーのクプラTCRだったが、ヒュンダイの前に出ることは叶わず。そのままバルディが映えあるpre-season Esports WTCR初代ウイナーとなった。



 続くレース2は現実のフォーマットを反映して前戦トップ10がリバースグリッドで挑み、10位に入賞していたドイツのGT4ドライバー、ティム・ハイネマン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)がリバースポールからスタート。

 そのオープニングの1コーナーでは、後続でグエリエリとルカ・エングストラー(ヒュンダイi30 N TCR)らがeレーサー1台と絡むマルチクラッシュが発生するなど波乱もありつつ、ハイネマンがレースの大半で首位を守っていく。

 しかし残り2周の1コーナーで後続からプッシングを受けたGT4ドライバーは敢えなく4番手に後退。その当事者であるポーランド人のニコデン・ウィスニウスキーが首位に立つも、背後で隙を伺っていたM1RAのもう1台、ゾルタン・クスティ(Lynk&Co 03 TCR)がターン4のアウト側から仕掛けて豪快なオーバーテイクを披露。

 これでワイドランとなったウィスニウスキーは、FA Racing Esportのアレクサンダー・ドニーデン(Lynk&Co 03 TCR)にもパスされ、最終的に5位まで後退。M1RAのクスティが勝利し、ドニーデンが2位に続いてLynk&Coがワン・ツー・フィニッシュを達成、ハイネマンが3位表彰台を死守する結果となった。

 注目のWTCR現役勢は、レース1で予選最上位だったオモラが決勝でもわずかにポジションを上げて18位。続くレース2でも19位となったものの、その2ポジション上の17位にヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR)が入った。

 さらにミケル・アズコナ(セアト・クプラTCR)が20位、22番手以下でケビン・チェコン(アルファロメオ・ジュリエッタTCR)、ティアゴ・モンテイロ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)、ニールス・ラングフェルド(アウディRS3 LMS)らが完走を果たしたものの、ミケリスは22位、25位と不本意なリザルトに。また、直前での参戦を表明したアッティラ・タッシ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)はドライブスルーペナルティの未消化で両レースから失格処分となっている。

 全4戦のミニチャンピオンシップとして開幕したRaceRoomプラットフォームの"pre-season Esports WTCR"、続く第2戦はスロバキアリンクが舞台となりすでにタイムアタックを実施中。4月14日に予選、同20日に決勝の模様がライブストリーミングされる。