WEC世界耐久選手権に参戦しているレベリオン・レーシングは、当初予定していたル・マン24時間での“ラストレース”を、シリーズのリスケジュールによって最終戦となったバーレーンまで引っ張ることを検討している。
プライベーターチームとしてWECの最高峰カテゴリーであるLMP1クラスに参戦してきたレベリオン・レーシング。彼らは2019/20年シーズンのル・マンを最後にシリーズから撤退すると発表していたが、WECが新型コロナウイルス(COVID-19)による混乱に対応する新しい日程を示し、最終戦をル・マンからバーレーンに変更したことで計画の見直しを迫られている。
WECの新しいスケジュールでは、ル・マンが6月から9月16~20日にシフト。その前哨戦であるスパ6時間レースは8月13~15日に行われることとなり、中止となったセブリングの代替イベントとなるバーレーン8時間レースが11月19~21日に行われる予定だ。
レベリオンのカリム・ブハドラCEOは、Sportscar365に対し予算次第ではあるが、チームは1台のレベリオンR13・ギブソンをバーレーンのグリッドに置くことを目指していると語った。
「我々は2~3週間前、6月にル・マンで24時間レースを戦う立場にあったが、今ではそれがすべて変わってしまった。このことが私たちにとって状況をかなり混乱させている」とブハドラは述べた。
「しかし、(スパ、ル・マン、バーレーンの)3つのレースに出るために全力をつくすつもりだ」
「最後のレースについては、正直に言うと予算の問題がある。(中止となった)セブリング1000マイルに参加するためにすでに多くの費用を支払っているからね」
「シリーズがセブリングをキャンセルすると決めたとき、私たちはすでにチームスタッフとメカニックのためにホテルと飛行機を予約していたため、そこに多くの費用が掛かった」
「世界で何が起こっているのか、これはとんでもないことだ。経済危機だよ。最後のレースに参加する余裕があるかどうかは予想できないが、今のところは1台のクルマを送り込むことを前提に、できることは何でもするつもりだ」
■ル・マンでの2台体制に変更なし
スイスに拠点を置くこのプライベーターチームは、ワークスチームのTOYOTA GAZOO Racingと選手権を争っており、1号車レベリオンR13をドライブするグスタボ・メネゼス/ブルーノ・セナ/ノルマン・ナト組が、選手権リーダーの7号車トヨタTS050ハイブリッドのマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組からわずか19ポイント差のランキング3位につけている。
最終戦のバーレーン8時間を放棄することは、レベリオンにとって世界選手権でタイトルを獲得するチャンスを失うことを意味する。
「2台を出すのは難しいだろう。しかし、バーレーンで1台を走らせられるように最善を尽くす。なぜなら、我々は勝利を狙える立場にあり、ル・マンだけでなくチャンピオンシップでも勝てると考えているからだ」とブハドラ。
「ル・マンで何が起こるかに応じて、我々が最後のレースで何を行うか、その戦略が変わってくるだろう」
「我々はそれがチャンピオンシップの終わりであることを知っており、WECよる祝賀会もあるためこの場所でレースを終えることが理にかなっていると考えている」
このように語ったブハドラは、レベリオンがまだ2台体制でスパとル・マンに参戦するつもりであることを明らかにした。
2019/20年シーズン開幕戦シルバーストン以来の登場となる3号車レベリオンR13は、ロマン・デュマ、ナタナエル・ベルトン、FIA-F2ドライバーのルイ・デレトラズの新しいトリオでレースを戦うことになっている。
「スパ・フランコルシャンは世界最高のコースのひとつであり、私たちは絶対にそこでレースをしたい」と語ったブハドラ。
「スパのレースでは2台のクルマが必要だと思う。これはル・マンに向けた良い準備の機会であり、この場所でクルマとドライバーが24時間レースに備える必要があるんだ」
「我々はルイ・デレトラズという若いドライバーを迎えた。彼は非常に才能があるが、クルマと耐久レースを理解する必要がある」
「そのためにも私たちはル・マンの前にスパでレースをすることが必要だと考えているんだ」
「明らかに、ル・マンには2台のクルマを持っていくだろう。我々の目標は勝つことなので、スイスにトロフィーを持ち帰るためにできることはすべてやるつもりだ」