2020年04月05日 09:51 弁護士ドットコム
「妊娠中に7股した夫が離婚してくれません」。2人の子どもがいる女性から、弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられています。
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夫は相談者が妊娠中に7人以上の女性と浮気。不倫相手の1人は相談者の友人でした。しかも夫は自宅で逢瀬を重ねていたというのです。
相談者が夫に離婚を切り出すと、夫は拒否。不倫をしたことに対する反省もなく、「別れるならば、子どもを連れて海外に行く」と言っているそうです。
「夫と不倫相手には謝罪文を書いてもらいましたが、その謝罪文はあとで夫に捨てられてしまいました。そのため、不倫の証拠は残っていません」と相談者は困っています。相談者の望みは夫と離婚し、幸せになること。夫と離婚することはできるのでしょうか。河内良弁護士に聞きました。
ーー相談者のように「不倫の証拠」がない場合でも、不貞行為があったとして離婚を請求することはできるのでしょうか。
「裁判で離婚する際には、法律で定められた離婚理由が必要です。不貞行為はその理由の1つではあるのですが、証拠がない場合、相手が否定すれば裁判で勝つ見込みは少ないのが実態です。相談者の場合も、証拠はないそうですから、夫が否定した場合には『不貞行為』を理由とした離婚請求は困難です。
ただ相談者の夫は、今後も繰り返す可能性が十分にあります。今後同じことをおこなったときには、興信所に依頼するなど、万全の証拠保全をすべきだと思います」
ーー相談者の夫に対する気持ちは冷めており、次の不貞の機会をうかがうことも厳しいかもしれません。その場合、離婚に向けてできることはありませんか。
「別居することはもちろん可能です。別居期間が長くなれば、婚姻関係が破綻しているとみなされて、裁判所が離婚を認める可能性も出てきます」
ーー相談者は経済的な不安も抱えているようです。もし、夫と別居し、子どもと暮らす場合は、まず何をすべきでしょうか。
「まずは婚姻費用分担調停(生活費を請求する調停)をすみやかに申し立てて、生活費を確保してください。
別居をするにあたっては、その前に夫の収入状況に関する情報や資料(勤務先の住所、源泉徴収票や確定申告書のコピー、通帳など)を確保されるとよいでしょう。写真に撮るだけでも構いません。
こうすることで、婚姻費用の額が決定した後の費用回収が少し、簡単になります」
ーー相談者は親権をもちたいと願っています。裁判所はどのようにして親権者を決めるのでしょうか。
「裁判所が親権者を確定するにあたっては、子の福祉に基づき、主たる監護者の原則や継続性の原則、ある程度以上の年齢の子どもについてはその意思など、複数の事情に基づいて判断されます。
なお、親権者は母親に限りません。主たる監護者が父親であった場合には、父親が親権者となることもできます」
【取材協力弁護士】
河内 良(かわち・りょう)弁護士
大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。
事務所名:河内良法律事務所
事務所URL:http://www.kawachiryo-law.jp