新型コロナウィルスの影響で、多くの企業がテレワークの導入に踏み切っている。はてな匿名ダイアリーには3月末、「リモートワークの行き着く先は大量解雇なのでは?と思ってる」というエントリがあった。
投稿者はIT系企業の管理職で、リモートワークを2週間ほどやってみたところ、「社員によってアウトプットの量やそれによる全体の進み具合ってのが著しく可視化されていることに驚いている」と綴っている。さらには
「要らない奴はとことん存在が消えるし、もう居なくていいやと感じているのだ」
などと綴っていた。(文:okei)
「リモートワークによって会社にとって必要な人材を洗い出せた」と喜ぶが……
その一方で、仕事が好きで、止めなければいつまででも作業をしてしまうような「会社の宝のような社員」も可視化されたという。そのため、「普段なら多少は仕事をしているように見えていたプログラマーがいかに使えないかを際立たせてしまう」と分析。社員の格付けがこの期間で完了したなどと感想をもらし、
「リモートワークによって、会社にとって必要な人材を洗い出せたというのは思わぬ成果だった」
と語った。プログラマーは契約社員が多いため、使えないと分かった社員は更新されないだろうと予測した上で、リモートワークが普及した世界では「その先に待つのは大量解雇や契約満了だろう」と結論づけていた。現在リモートワークで働く人たちにとって、肝の冷える意見だろう。
この投稿は注目を集め、ブックマークは870を超えた。投稿者に反感を抱いた人が多く、
「これ、単純にマネジメント(管理職のおしごと)が失敗してるのでは...」
「そんな露骨に奴隷求めてます宣言されても」
などの批判や異論が相次いだ。特に、投稿者の管理能力の低さに対する指摘はおびただしい。自分からできる有能な人材ばかりなら管理職は要らない、つまり投稿者が不要な人材だという批判が相次いでいた。余剰人員がいないとできる人が辛くなって転職や独立していくという意見や皮肉も散見された。
リモートワークは「いつも以上に頑張らないと無能判定される」と恐れる人も
確かに、投稿者は「使えない社員」に指導をするでもなく「不要」とジャッジしており、こんな上司は嫌だなと感じる。リモートワークは大抵孤独な作業なので、他人の進捗スピードや微妙な評価がわかりづらい。リモートワークしやすい家庭事情ばかりでもなく、なんのアドバイスもなくいつの間にか不要品扱いされるのではたまらない。
また、気になるのは、投稿者が「感度の高い社員が危機感を感じて積極的に頑張ろうとしてる」と書いている点だ。頑張る人に「必要以上に負荷をかけているかもしれない」という労務管理上の危機感は感じられなかった。
4月2日現在、ツイッターで「リモートワーク」と検索すると、「サボり」が第2ワードにくる。「リモートワークなんてサボリ放題でしょ」と見る人がいる一方、
「いつも以上に頑張らないと無能判定される」
「むしろ見えない何かに監視されてる感があって、ちゃんとやってますアピールしがち」
などと危機感を募らせる人も少なくない。放っておくと働きすぎてしまう人もいるだろう。
投稿者は、「人材の良し悪し」がふるいにかけられたことを喜んでいるフシがあり、自分が不要な人材になることは思いもよらない様子だ。だが、管理職としてこれまで「使えない社員」の存在に気づかず、使えるように促してもこなかったことが"可視化された"わけで、楽しげに未来予測している場合ではないだろう。