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旅した世界にもう一度出かけよう 『DEATH STRANDING』に遊び方満載のフォトモード追加

2020年04月04日 13:21  リアルサウンド

リアルサウンド

DEATH STRANDING

 コジマプロダクション制作の『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』に、4月1日のソフトウェアアップデートで「フォトモード」が追加された。


(参考:小島秀夫監督×三浦大知が語り合う、『DEATH STRANDING』で感じた“喜びの繋がり”


 「フォトモード」はプレイ中に自由に写真が撮れる機能で、PC版に実装されることが発表され反響が大きく、PS4版にも追加されることになったのだ。


 これまでもゲーム中でスクリーンショットは撮れていたが、実際にプレイで使っている第3者視点のカメラを上手いこと動かして構図を作ることしか出来なかった。そのためカメラとサムの距離や角度に制限があり構図の自由度は高くなかった。


 しかし今回の「フォトモード」ではカメラを自由に移動できるばかりか、サムのポーズや表情、詳細なカメラ設定が行えるように。しかも設定できるパラメータの種類が尋常ではない量なのだ。


 正直に言おう。まさかここまでカメラモードが充実するとは思っていなかった。


 設定できる種類だけでもカメラ、サム、BB、被写界深度、明るさとフィルター、レンズ効果、フレームに分かれておりそれぞれ5つほどのパラメータが調整可能。これに加えてカメラ位置を高さを含めて自由に動かすことが出来る。サムやBBの非表示の選択やポーズ、表情に目線というものから、焦点距離や絞りといった実際のカメラと共通するパラメータもある。フレームやロゴスタンプ、全体にかかるフィルター等のSNS向きの設定もあり、すでにハッシュタグ「#デスストフォトモード」には多くの写真作品が投稿されている。


 この写真はゲーム内のある廃墟で撮影したものだ。サムやBBは非表示にし、焦点距離を広角寄りにしてフィルターとノイズをかけている。特に焦点距離の変更はプレイ時と画面の画角を大きく変えることが出来るため、「フォトモード」ならではの驚きが得られるだろう。カメラを触ったことがなくてもパラメータをいじっていればなんとなく掴めてくるはずだ。


 「デススト」は発売早々に山歩きのリアルさが大きく注目された。


 重い荷物を背負って孤独に歩く主人公、サム。目的地へのルート取りを考えながら足元を注視して一歩一歩踏みしめて歩く。時には足が滑って軽く焦り、L2R2ボタンを強く握りしめてなんとか持ちこたえ、テレビの前で胸をなで下ろす。一息ついてまた歩き始めた後も、雨が降り出し、ストレスフルな道がずっと続いていく。


 我慢して歩みを進めていると、不意に道が開け視界が明るくなる。ふと視線をあげると広がる景色。遠くに見える目的の街。登山と同じ達成感が押し寄せ、胸にかかっていた圧力から一気に解放される。たとえゲームであっても登山が体験でき、ゲームを超えた感覚がクセになる。


 私はこの景色を観た時に「デススト」のゲームデザインの巧みさに虜になった。


 小島秀夫監督の作るゲームは、インタラクティブだからこそ体験できる感覚を毎度味あわせてくれる。チュートリアルで語れる独特な操作や数値は、ゲームが進むと全く別の顔を見せ、気づいた時にはもうゲームの虜になっている。それをデザインしているのだ。先ほどの写真に写っているのはポートノットシティK3、最初のフィールドの終着点である。ここまでにBTとの戦闘も経ており、まさにここまでがチュートリアルだったと言えるかもしれない。


 私が思い出深かった景色はここだったが、他にも印象的なシーンはいくつもあった。バイクで岩だらけの荒野を駆け抜ける時や、道が開けた際にカメラが大きく引いて、LOW ROARの楽曲が流れた時、雪山で滑落して荷物も散らばり途方に暮れている時。


 その景色を、カメラで残そう。


 もうクリアした人も、あの旅を思い出すために出かけよう。あんなに苦労して建築した国道がいまどうなっているか見るのは不安だろう。雪山をつなぐジップラインはもう劣化しているかもしれない。あの崖にかけたハシゴは残っているだろうか。しかし、だからこそ新しく気持ちを動かす1枚に出会うかもしれない。


 1つ注意点として、写真データの現像をしたことがある方なら心当たりがあるかもしれないが、「フォトモード」は熱中するとあっという間に時間が経ってしまう。それほどまでに「フォトモード」は奥深く、全く新しいゲームが追加されたとも言えるぐらいだ。ぜひもう一度、デスストの世界に出かけて欲しい。


(布村壮太)