2020年04月03日 10:11 弁護士ドットコム
2020年の司法試験は、5月13、14、16、17日の4日間かけて、全国7都市でおこなわれます。
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新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、受験生からは従来通り実施されることに対して不安の声も上がっています。
東京会場で受験予定の埼玉県の男性は「会場は感染のリスクが高いと考えられるため不安です」と話します。
一発勝負の司法試験では、少し体調が悪くても、無理をして受験する人もいるかもしれません。男性は「感染に気づかず受験する人がいるのではないでしょうか。また、追い込みをかけて、通常よりも免疫が低下している受験生など、感染のリスクは上昇していると思います」と懸念しています。
また、司法試験までの期間に感染しないかどうかについても、不安を募らせています。試験日が差し迫る中、この4月は追い込みの時期。男性は「受験生はこれまでの学習環境を変えることに抵抗がある。多くの受験生が従来どおりの行動をとってしまうのではないか」と話します。
「多くの受験生が、今までどおり自習室で学習をしたり、起案した答案を狭いスペースでグループで検討したりせざるをえない状況です。試験が延期されれば、受験勉強のために無理をする必要性も少しは下がるため、余裕をもって、自宅学習に切り替えられる学生も増えるのではないでしょうか」
京都市の男性(24)は「予定通りに実施してほしいけど、してほしくないという気持ちもある」と複雑な心境でいます。
「司法試験の日に最大の力が発揮できるように、皆勉強して調整しています。それが数カ月、ましてや中止になってもう1年延びたとなれば、それまでの間、メンタルと実力を保つのが非常に難しくなります」
とはいえ、やはり気にかかるのは新型コロナウイルスの感染拡大。男性も司法試験まで自分が新型コロナに感染しないか、そして司法試験会場で感染しないか不安を抱えています。
この数日で、男性が通う法科大学院では資料庫と一体となった自習室が閉鎖。大学図書館も使用ができなくなり、これまでの学習環境に影響が出ているそうです。
「今現在、司法試験のことだけを考えたいけれども、新型コロナのことも不安で、勉強にいまいち集中できないという状況です」
また、このような状況で、司法試験委員会が感染防止のための策を発表していないことにも疑問を感じています。
「会場や部屋を各地に分散させ、また消毒液や換気を徹底するなど少しでもクラスター感染を防ぐ措置を発表してもらいたいです。法務省はクラスター感染を防ぐために対策を講じることを受験生と社会に宣言する必要があると思います」
海外では、ニューヨーク州司法試験委員会が3月27日、2020年7月28、29日に予定していたニューヨーク州司法試験を2020年秋まで延期すると発表しています。
また日本でも、東京都が4月1日、5月3日と10日に予定されていた職員採用試験を延期すると発表しました。今後の予定は未定だといいます。
法務省司法試験委員会は弁護士ドットコムニュースの取材に「対策をとって予定通り実施する。状況の変化によっては、中止や延期の検討もできるように準備を進めている」と話しました。
具体的にどのような対策をとるのかについては、「政府の方針を参考にしつつ考えていくが、現在検討中の具体的な内容はお答えすることが難しい。マスクの着用や試験会場の換気など、他の試験で実施している対応状況を参考にしながら、検討を進めている」と回答しました。
また、新型コロナウイルスに感染した人の受験について、なんらかの措置を取るかについては、「コロナウイルスに感染した罹患者については、医師の診断に基づいて、医療機関や自宅で療養に専念するものと考えておりますので、個室受験などの受験特別措置の対象にはならないと考えている」と話しました。