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京大、iPS研究所職員を懲戒解雇、法的措置も検討 「教授のメール盗み見」など

2020年04月01日 16:11  弁護士ドットコム

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iPS細胞研究所の教授のパソコンを操作して、無断でメールを閲覧したり、機密情報を持ち出してスキャンするなどしたとして、京都大は3月31日、同研究所に勤める非常勤職員を懲戒解雇したと発表した。京大は今後、刑事告訴・刑事告発も含めて法的措置を検討するとしている。


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●50代の女性職員が懲戒解雇された

京大広報課によると、懲戒解雇されたのは、50代の女性職員だ。次のような一連の行為を2017年度から2019年度にかけておこなっていたという。



(1)無断で教授のパソコンを操作し、教授個人宛の機密情報の記載されたメールを開封し閲覧した。無断で教授の机から機密書類を持ち出し、スキャンしてデータを取得したうえで、書類を返却した。



(2)大学の物品であるオーブンレンジについて、購入後数カ月で不具合がないにもかかわらず、大学に無断でメーカーに処分を依頼し、処分した。



(3)教授室に盗撮ビデオカメラを設置して盗撮した。盗撮に関しデータ消去を指示したが、盗撮のデータを削除せず、他の教職員もアクセス可能な共有フォルダに保存していた。



(4)業務上の必要がないにもかかわらず、休日に大学のセキュリティエリアに侵入し、その際、許可なく大学生の子どもも同エリアに立ち入らせた。



(5)勤務時間中に、業務上必要のないメール、文書を複合機で膨大な量を印刷した。



●一部を否定しているという

上記の(3)(5)にからんで、特定の人を批判する文書を複合機の上に残したり、盗撮データの削除を指示されたにもかかわらず従わなかったことから、京大は2019年9月から、この女性職員について調査していた。



京大広報によると、女性職員の動機は不明で、職員同士のトラブルがあったかどうかなどもわかっていない。ただし、女性職員は(1)~(5)の行為のうち、一部を否定しているという。



(1)事実を認めてない
(2)廃棄したことは認めているが、「不具合がなかった」とは認めていない
(3)事実を認めている
(4)発覚した経緯が、iPS研究所の防犯カメラなので争いはない
(5)事実を認めている



●京大は今後「刑事告訴」を検討する

しかし、京大広報によると、「客観的な証拠は残っている」という。京大は「大学秩序・風紀を乱す行為」などを禁じた就業規則に違反したとして、この女性職員を懲戒解雇とした。



さらに、上記のような行為は罪に問われる可能性がある。たとえば、本人が事実を認めている(3)(4)は、建造物侵入罪(刑法130条・3年以下の懲役または10万円以下の罰金)にあたる可能性がある。



京大は今後、刑事告訴・刑事告発も含めて法的措置を検討するとしている。