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Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏、新型コロナウイルス研究に25億円寄付

2020年03月31日 14:31  リアルサウンド

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 Facebookの創設者で会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は3月27日、妻プリシラ・チャン氏と設立したChan Zuckerberg Initiative(CZI)を通じて、新型コロナウイルス(COVID-19)の治療法を開発するための研究基金「COVID-19 Therapeutics Accelerator」に2500万ドル(約25億円)を提供することを発表した。


(参考:FacebookやGoogleが医療用マスクの広告を一時的に禁止 悪徳業者対策に出る


 同日、ザッカーバーグ夫妻は、『CBS News』のインタビューに応じた。


 ザッカーバーグ氏「医学研究コミュニティがCOVID-19の治療法を迅速に特定し、治療法のテスト・開発をすることに尽力します」と述べる。


・薬の有効性を検証、パンデミックへの対策と戦略を確立へ
 この研究基金は3月10日発表時点で1億2500万ドル(約125億円)が集まり、Microsoftの創設者ビル・ゲイツ氏の慈善団体Bill & Melinda Gates Foundation(BMGF)も5000万ドル(約50億円)を提供している他、MastercardやWellcomeも参画している(参考:https://www.theverge.com/2020/3/27/21196335/chan-zuckerberg-initiative-commits-25-million-covid-19-therapeutics-accelerator)。


 今後、世界保健機関(WHO)、パブリックセクター、民間事業者等と協力して、新型コロナウイルスの治療法を特定するための研究活動を行なっていく。具体的には、既存の薬がCOVID-19に対して、何らかの効果があるかを研究者がスピード感を持って調査し特定していくという。


 そして、これらの取り組みにより、現在、猛威を振るっているCOVID-19の蔓延を少しでも防ぎ、将来的に再びやってくるパンデミック(世界的大流行)への対処法や戦略を確立し広く共有することを意図している。


 CZIとChan Zuckerberg Biohubは、既にこの疫病への治療と対策の研究を開始。米国サンフランシスコ・ベイエリアでのCOVID-19テストの数を増やことを目指し、カリフォルニア大学サンフランシスコ校で1日に少なくとも1000回テストが出来るように、取り組みを支援している。


・Facebookブランドの信用を取り戻せるか
 マーク・ザッカーバーグ氏は2004年に設立したFacebookの成功で、ソーシャルメディアという概念を確立し、時代の寵児となった。しかしFacebookは近年、個人データをユーザーに無断でCambridge Analyticaに販売した事件を筆頭に不祥事が相次いでおり、それが社会的信用を落とす原因にもなっている。


 独自の仮想通貨リブラを発行するという新規事業でも、その点がネックとなり、各国当局から猛反発を受けて、頓挫している。


 CZIの目的は健康、教育、科学研究、エネルギーなどの分野で平等を促進し、人間の可能性を前進させる事業を行なうことで、この世界的な危機に本腰で取り組む構えだ。2015年に設立された切っ掛けは、ザッカーバーグ夫妻の愛娘の誕生だった。


 ハーバード大学出身で、若くして億万長者になった天才経営者ザッカーバーグ氏も、人の親になり、社会的活動に注力している。


 テクノロジー業界の動きは速く、SNSの新興勢力から激しく突き上げられている。新型コロナウイルスへの真摯な取り組みは、Facebookがブランドとしての信頼を回復し、事業が以前の勢いを取り戻すための試金石にもなりそうだ。


(Nagata Tombo)