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幸せな結婚を「酒乱の義父」に破壊された…心身ともにボロボロ、夫婦には深い亀裂

2020年03月29日 09:21  弁護士ドットコム

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夫との幸せな結婚生活が「酒乱の義父」に破壊されようとしていますーー。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられました。


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相談者は、義父と同居して3年になります。当初、義父は温厚だったそうです。ところが1年前、相談者が妊娠してから豹変したといいます。



「お酒が入ると突然キレたり、暴言を吐いたりするようになりました。ほかに同居している義祖母に手を上げたこともあります。私は心身ともにボロボロになり、病院に通院しています」(相談者)



ところが夫は、義父に注意すらせず、相談者をいたわることもなく、夫婦の仲に亀裂が入ってしまったそうです。相談者は、離婚を視野に入れるようになりました。相談者は、自分と子どもを守るためにどうするべきなのでしょうか。近藤美香弁護士に聞きました。



●義父と別居するのが一番

ーー相談者は子どもへの悪影響が出ることを恐れています。どんな対応をするべきでしょうか。



「まず考えるべきは、義父と別居することにより、物理的な距離をおくことです。夫婦間には同居義務(民法752条)がありますが、義父と同居する義務はありません。今回のようなケースでは、同居を継続する限り、根本的な解決とはならないと思われます。



義父が暴言だけでなく暴力をふるい、それによって怪我をした場合は、義父を傷害罪で告訴するという方法も考えられます。しかし、義父が改心するとも限らないため、本質的な解決とはならない可能性が大きいです。



なお、『DV防止法』(『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律』)で、どうにかできないのかと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、DV法は配偶者を対象にしたものですから、義父は対象外です」



ーー相談者が心身ともにボロボロになっているのに、夫はまったく対応しようとしないそうです。



「夫にとっては義父の暴言は慣れきったものなのかもしれません。そこで、あらためて義父の暴言があまりに酷く耐えられないことや、義父の言動によって通院せざるを得ない状況になっていることをきちんと説明して、義父と別居したいということを相談しましょう。



それでも夫が相談者の相談に真摯に応じてくれない場合は、夫との別居や離婚を考えるしかありません」



●「酒乱の義父」だけでは離婚が認められるのは難しい

ーー酒乱の義父を理由に夫と離婚することはできるのでしょうか。



「義父が酒乱であるということだけでは、裁判で離婚を認めてもらうのは難しいでしょう。一方で、義父からのひどい暴言などが原因となって通院を余儀なくされるほど心身に負担がかかっているのに、夫が何もしてくれず、義父との別居にも応じない場合には、『婚姻を継続しがたい重大な事由』(民法770条1項5号)があるとして、裁判で離婚が認められる可能性があります。



ただ、裁判で離婚が認められるためのハードルは高いので、まずは夫と別居して、夫に婚姻費用(生活費)を要求しつつ、協議もしくは調停で離婚についてきちんと話し合っていくことが必要です。そうすれば、話合いの段階で夫が離婚に応じてくれるかもしれません。



それでも夫が離婚に応じず、義父との問題について理解を示さない場合には、離婚訴訟を提起し(その前に必ず調停手続きが必要です)、離婚理由をきちんと主張立証すれば、離婚が認められる可能性はあると考えられます」




【取材協力弁護士】
近藤 美香(こんどう・みか)弁護士
弁護士登録直後から大手弁護士法人にて500件以上の離婚・不倫慰謝料問題の解決に関与。夫婦カウンセラー資格保有。これまでのキャリアを生かし、独立後も引き続きこれらの問題に注力しています。
事務所名:エトワール法律事務所
事務所URL:https://etoile-lawoffice.jp/