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快と花の“似たもの同士の恋愛観”がもたらした終焉 『テラスハウス』第37話未公開映像

2020年03月26日 19:21  リアルサウンド

リアルサウンド

『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

 Netflixで配信されているリアリティーショー『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』。3月24日にYouTubeにアップされた未公開映像には、京都旅行での花と快の話し合いの続きが収められていた。


(関連:東京編2組目のカップル候補、快と花の“感情の変化”に注目 『テラスハウス』第35話未公開映像


「どれだけ多くの人を幸せにできたとしても、一番身近な人を傷つけたら意味がない」


 37th WEEK本編で、一泊二日で京都にダブルデートに出かけた快、俊幸、花、夢。そこで、俊幸×夢ペアと快×花ペアそれぞれに、“ズレ”があることが発覚する。特に快と花は、お互いに「好き」だと伝え合い、カップル成立まで秒読み状態だっただけに、この歪みが二人の今後に大きく響いてしまうことになった。


 なにがなんでもキスしたい俊幸と、好きだけど“そういう好き”ではない夢。夢がやんわりとキスを拒み続けるも、俊幸は「照れてるんだな。可愛いヤツめ!」と勘違いしてしまう。


 一方で、快×花ペアは、恋人に求めることをはじめ、恋愛に対するお互いの価値観が大きく異なっていることが発覚する。恋愛を「モチベーションにしたい」という花は、「その人のことを想って頑張ろうってなりたい」「自分のことを大切にしてくれてると感じる人と付き合いたい」と言い、快は「自分がやりたいことに集中しすぎて、周りが見えなくなってしまう」から、そんな「自分のペースに合わせられて、頼れて、全部任せられる人」が理想だと明かす。


 37th WEEKの未公開映像のタイトル“I Want To Accept Me For Who I AM”通り、どちらも“ありのままの私(俺)を受け入れてくれる人”を望んでいた。しかも、“一方的”にだ。極端に言えば、快も花も自分は自分のために生きるけど、相手は私(俺)のために生きて、私(俺)に尽くしてほしいということになる。


 つまり、ある意味ではお互いの恋愛観はバッチリ合致しているのだが、どちらも自分から相手に与えることよりも、相手からもらうことばかりを考えてしまっているため、平行線のように交わることがない。絶望的に合わないのだ。


 「何かもっと……人のことを想いたい」と涙を流す快だが、正直いまの彼にはその余裕は全くないように感じる。生活に余裕がないと心にも余裕はなくなるし、加えていま一番頑張りたいと思っているスタンダップコメディも不調ときているのだから、自分のことに一杯いっぱいで周りのことまで気遣っていられないはずだ。というよりも、そもそも快の口から出る恋愛観を聞く限りでは、「ダメな自分や考えを気づかせて欲しい」「支えて欲しいっていうよりかは、自分のアイディアとか考えをいつまでも信じてほしい」など、自分! 自分! ばかりで“相手のために何かしたい”という思いは一つも感じられない。


 そんな快の価値観を、花は「私は」と強調しつつも真っ向から否定していた。だが、花も花で根本は快と何も変わらず、自分のことしか考えていないように見える。むしろ、快は「こんなダメな自分が嫌い」と自身の欠点に気づいているが、花は「私だけが絶対に正しい」と思い込んでいるのだからタチが悪い。


 快から「花はすごく特別な存在だし、今も花への気持ちは絶対薄まってないと思うんだけど、それ以上にスタンダップのこともあるから、花の存在っていうのが見えなくなっちゃうって感じになってきちゃった……」と告げられたことで、花はおそらく心もプライドも相当傷ついたはず。同時に、「快は自分の理想の相手とは程遠いのでは?」という疑問が確信へと変わったことだろう。


 その瞬間、花は快に「宿とかご飯屋さんとか新幹線のチケットとかもさ、全部社長が手配してくれて。当日も快くんは心ここに在らずみたいな感じで、今、目の前にあることを大切にしてもらえてないなっていうのはすごく感じた」「どれだけたくさんの人を喜ばすことができても、一番身近な人を傷つけたり、寂しい思いをさせたり、ハッピーにできなかったりしたら意味がないなって花は思って」「周りを大切にしながら、自分のやるべきことをやりたい」などと、自身の正義をふりかざして説き伏せようとする。


 そして、最後のチャンスと言わんばかりに「変わりたいって思うの? それとも、自分の世界を作り上げるためにはしょうがないと思うの?」と快に問う。だが、返ってきた答えは花が期待していたものとは真逆だった。「そこまで、すごくそっちに変わりたいっていうのはないかな」。二人の恋はジ・エンド。甘酸っぱい時間の終焉と共に、女子風呂での地獄の悪口大会が幕をあけるのだった。


 ここで、少し引っかからないだろうか。花は今、目の前にいる快を大切にできているのだろうか、傷つけているのではないだろうかということに。


 思えば、花が凌に片想いしていたとき、辛くて涙を流していた横には快がいてくれた。甘くて優しい言葉でそっと包み込みながら、傷つく花の心を癒してくれていたのではないだろうか。だが、花は快がスタンダップコメディで壁にぶち当たり、どうしようもなく悩んでる今、自分の欲求だけを一方的にぶつけている。そんな快を労るという優しさはどこにも感じられない。それなのに、自分は周りを大切にできて、傷つけない人だと思い込んでいる。花は自分の思い通りにならないことは許せず、自身の正しさを周囲に押し付けようとする節がある。客観的に自身を省みることができない。どこまでも子どもなのだ。だからこそ、テラスハウスに入居したことが、彼女にとって成長のきっかけになるのではないだろうか。


 ここまで長ったらしく、快と花の間に生じた亀裂を書き綴ってきたが、結論、「京都旅行に行っても行かなくても、今の彼(女)らが恋人として幸せになれることはなかった」の一言に尽きる。もし、快にもう少し余裕があって、花ももう少し大人だったら……。だが結局、そのときに出会っていたら出会っていたで、お互いに惹かれ合うこともなかったのかもしれない。(文=朝陽空)