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戸田恵梨香「大事なもんを、大事にせい」 『スカーレット』桜庭ななみを動かした言葉

2020年03月26日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『スカーレット』(写真提供=NHK)

 喜美子(戸田恵梨香)は信作(林遣都)から「みんなの陶芸展」にジョージ富士川(西川貴教)を呼んでほしいと頼まれる。このことは喜美子にとって、“信楽への恩返し“になりそうだ。連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)の第148話では、それぞれの日常を切り取りながら、大切なものを見失わずに生きることを描く。


 直子(桜庭ななみ)は武志(伊藤健太郎)のドナーになるための検査をすることで、布袋と口論になってしまったと言う。前の夫である鮫島(正門良規)なら、喜んで助けてくれただろうと話す直子。鮫島との思い出を語るうちに、直子は涙ぐむ。直子の心にはまだ、鮫島の存在が消えずにいるのだろう。そんな直子に対して喜美子は、「大事なもんを、大事にせい」と鮫島を探しに東京に行くことを提案する。直子は喜美子の言葉を聞き入れ、川原家を後にするのだった。


【写真】西川貴教演じるジョージ富士川


 その後、信作と照子(大島優子)が喜美子を訪ねてくる。「みんなの陶芸展」にジョージ富士川を呼びたいという申し出だった。喜美子は、ジョージ富士川に頼みごとをするのが恐れ多いと渋っていたが、“信楽への恩返し”という信作の言葉で依頼することを決意し、手紙をしたためるのであった。書きあがった手紙は3通。そこにはちや子(水野美紀)と草間(佐藤隆太)に宛てた手紙もあった。


 「大事なもんを、大事にせい」。シンプルだが、喜美子を象徴するような言葉である。喜美子が八郎(松下洸平)との新しい関係を築き上げたこと、父や母の面倒を見ながら誰よりも大切にしてきたこと、武志のために身をもって陶芸の素晴らしさを伝えてきたこと。喜美子はいつだってさりげなく家族と向き合っていた。そして陶芸を極めてからは、その対象は家族よりもさらに先へと広がっていく。陶芸教室を始める決意であったり、理香子(早織)に作品を作ったりと、自分にできることで“誰かを大切に”し続けていた。こうして生きてきた喜美子だからこそ、有事には多くの人が手を差し伸べ助けてくれる。


 喜美子にとって“信楽への恩返し”は「大事なもんを、大事にせい」の精神のひとつである。ジョージ富士川に思いは届くのだろうか。


(Nana Numoto)