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乃木坂46 高山一実&樋口日奈&中田花奈が語る、白石麻衣の卒業と変わりゆくグループの今

2020年03月25日 14:11  リアルサウンド

リアルサウンド

乃木坂46 高山一実、樋口日奈、中田花奈(写真=三橋優美子)

 乃木坂46が、25thシングル『しあわせの保護色』を3月25日にリリースした。同作は、約9年間グループを牽引してきた1期生の白石麻衣と井上小百合、そして2期生 佐々木琴子の卒業シングルとなる。


乃木坂46 『しあわせの保護色』
 表題曲のフォーメーションでは、白石を取り囲むように1列目と2列目に1期生メンバーが集合し、その背中を見つめるように3列目を後輩メンバーが担う。1期生が最後の一瞬まで白石との時間を共有し、そして最後には全員で優しく送り出す。そんな温かい情景を感じられるフォーメーションとなった。


 世間的な認知度も高く、大きな話題を集めた白石麻衣の卒業。見送るメンバーは、それをどのように受け止め、かけがえのない残された時間を共にしているのだろうか。1期生の高山一実、樋口日奈、中田花奈に「しあわせの保護色」の制作エピソードを振り返りつつ、白石麻衣との思い出や変わりゆく乃木坂46の今を語ってもらった。(編集部)


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■まいやんがゆっくり残ってくれている感じが曲とリンク(高山)


ーー今回のシングルの選抜発表が『乃木坂工事中』(テレビ東京系)で放送されたとき、1期生の名前が次々と呼ばれていく流れはグッとくるものがありました。白石麻衣さんが参加する最後のシングルの表題曲を今在籍する1期生全員で作るとわかったとき、皆さんはどういう心境でしたか?


高山一実(以下、高山):私は選抜発表の途中でそれに気づいて、まいやんの卒業で寂しい気持ちもあるけど、同時に「とにかくこのフォーメーションは楽しそうだ!」とも思いました。特に私は隣が(和田)まあやと(秋元)真夏なので、めっちゃ笑顔になったのを覚えています。


樋口日奈(以下、樋口):私ももちろんうれしかったです。まいやん(白石)を1期生みんなで、近くで見送れるのはありがたいなって思いました。


中田花奈(以下、中田):最初はまいやんのことを送り出す最高の形になったらいいな、自分がその一員になれていたらいいなと思っていました。これまでもメンバーの卒業シングルで一緒に歌えずに終わってしまうことがあったので、今回は単純にうれしかったです。


ーー楽曲自体もあまり卒業を強く感じさせない、普遍的なナンバーになりましたよね。白石さんの卒業で広く注目されるタイミングにこういう曲を用意したところも、これまで楽曲を大切に活動してきた乃木坂46らしいなと思いました。


高山:確かにそうですね。まいやんの願望として「卒業を悲しい感じにはしたくない」というのは聞いていたので、バラードではないだろうなと予想していたんですけど、自分が思っていたよりもスローテンポだったことには驚いて。でも、それがしっくりくるんですよね。長く乃木坂46にいてくれたまいやんが、バタバタと卒業していくというよりは最後の最後までゆっくり残ってくれている感じが、すごく曲とリンクしているなと思いました。


ーー急かす感じがないから、聴いている人たちもいろんな余韻に浸れるのかなと。


高山:うんうん。そうですね。


中田:歌詞を読むと、乃木坂46でのいろんな思い出を改めて振り返って、本当に幸せだったなと感じられる曲だなと思うんです。卒業ソングっぽくないかもしれないけど、今までのことを振り返れる曲にはなったかなと思うし、実はこれこそがみんなの求めていた、ちょうどいい卒業ソングなんじゃないかなと。


樋口:これはまいやんが言っていたんですけど、「さよなら」じゃなくて「またね」っていう雰囲気の、穏やかで優しい曲調は聴いていて心が不思議とほっこりとしてくるねって。聴いていても歌っていても、今までにない不思議な感覚になる曲なんです。


■1期生のわちゃわちゃした様子を後輩が優しく見守ってくれる(樋口)


ーー曲調やアレンジにしても、レトロ感がありつつ新しさもにじみ出ている不思議なバランス感ですしね。


樋口:そう、本当に不思議なんですよね。


ーー例えば昭和の時代にこういう曲が流行っていても不思議じゃないですし、これを2020年に乃木坂46が歌っているのがまた面白いんですよね。実は乃木坂46にはそういう楽曲が少なくないと思っていて。それこそデビュー曲の「ぐるぐるカーテン」もリリースから8年経ちましたけど、まったく古さを感じさせないですし。一貫していますよね。


高山:音楽好きの方にそう言っていただけるのは、本当にうれしいです。きっとスタッフさんの中でも音楽好きの方がいろんな案を出して、先々のことまで考えて作られているんだなと気づいてからこの曲を聴くと、ちゃんと丁寧に、力を入れて発信していかなくちゃと思って。いろんな思いを噛みしめて歌うようになりました。


ーーそれに、今年最初のシングルですものね。昨年における「Sing Out!」、その前の年の「シンクロニシティ」のように、毎年最初にリリースされるシングルがその年を象徴する楽曲になることが多いですし。そういう意味でも、「しあわせの保護色」は2020年の乃木坂46を示す大切な1曲になりそうですね。


樋口:本当にそのとおりだと思います。


ーー白石さんとのMVもこの曲が最後だったわけですが、撮影現場はどんな雰囲気でしたか?


樋口:楽しすぎて、スタートの声がかかる直前まで1期生同士で笑っているという(笑)。


高山:すっごい喋っちゃった気がする。


中田:それこそこの曲で音楽番組に出演するたびに、不安になるぐらい喋ってるよね(笑)。スタッフさんの話を聞いてないんじゃないかと思われちゃうぐらい、ギリギリまで喋ったり笑ってたりするし。


高山:そうそう(笑)。だいたい花奈が正してくれるんですよ。言われるまで私たち、全然気にしていなくて(笑)。


中田:「スタッフさんが○○って言ってたよー」って、私がスピーカー代わりになって(笑)。


高山:こないだ『ミュージックステーション』に出演したときも本番のカウントが始まっているのに、いくちゃん(生田絵梨花)が私に「かずみん、がんばろうね? がんばろうね?」ってすごい話しかけてきて(笑)。


中田:あったね(笑)。


高山:「うん、頑張るよ!」ってやりとりもあって。楽しみながら臨んでました(笑)。


樋口:そんな1期生のわちゃわちゃした様子を、後ろの2期、3期、4期メンバーが優しい目で見守ってくれているという(笑)。


中田:うちらのほうが子どもみたいにはしゃいでるし(笑)。


樋口:そういうこともあって、毎回楽しいですね。


■「このメンバーで9年やってきたんだ」と振り返る機会に(中田)


ーーいいですね。その楽しんでいる感じが後輩たちにも伝染して、「白石さんが卒業するけど、私たちも楽しまなくちゃ」って思ってくれるかもしれませんし。そういう空気を作れるのって8年、9年と一緒に活動してきたからこそでしょう、それをこのタイミングに選抜での活動に持ち込んでいけるのも素敵ですね。


高山:そうですね。今回はMV撮影直前にいろいろ変更がいろいろあったんですけど、そのバタバタ感がいつもは「大変大変!」ってなるところを、特に今回はそこも含めて楽しみながらやれた感が強かったなと。やっぱり昔からのメンバーで固まっていたから、心強さや安心感が大きかったのかなって思います。


ーー撮影しながら寂しくなる瞬間はありました?


樋口:個人的には撮影中は「これがまいやんと最後のMV撮影か」っていう感覚はなく、単に「楽しかった!」で終わって。でも、完成したMVを観たときに「こんなに楽しい撮影だったけど、もう戻ることができないんだ」とか、「ああ、ここでこんな表情をしていたんだ」と撮影中見えてなかった部分がわかったりして、より胸にジーンときました。楽しかったからこそ「あの瞬間は本当に幸せだったな」とより思えて、それも含めて今回は全体的に儚さを感じました。


ーーそれこそ歌詞とリンクするところもあるのかなと。


樋口:うん、まさにそうですね。


中田:逆に、私は撮影前にまいやんがフィッティングをしているときに、衣装のドレス感を見て「あ、これが最後か」とより実感して。だから、撮影中からそのへんは強く意識はしていたかもしれません。あと、1期生で固まって撮影することが多かったので、まいやんの卒業っていうだけじゃなくて「このメンバーで9年やってきたんだ」と改めて、自分的にも振り返る機会にもなって。「これだけ長くやってきたんだ。9年前、みんなと出会ったときってどうだったかなあ?」とか、いろいろ浸りながら撮影していました。


高山:監督さんが表情の指定というのをあまり決め込まず、「その場で感じたとおりの表情をしてください」と言ってくれて。だから、笑顔の人がいてもいいし、本当に悲しいと思ったら無理して笑顔にならなくてもいいというのが珍しいなと思ったんですよ。私はその空間でのまいやんがお姫様みたいで、この感じがすごく楽しいなと思って笑顔だったんですけど、完成したMVを観たらさゆりん(松村沙友理)がまいやんに花束を渡したあと、涙を我慢するまいやんのちょっとした表情に気づいて。「ああ、あのときこんな顔をしていたんだ!」と気づいたらすごい悲しくなったし、あのときの指示含めて監督さんは素晴らしいなと思いました。


■後輩が増えたけど1期生だけの頃と空気感は変わらない(樋口)


ーーそういう指示があったんですね。でも、その素直な感情の表し方があの曲には合っていると思いました。それにしても皆さん、今年の8月で乃木坂46加入からまる9年になるんですよね。


樋口:すごいですよね。私なんて13歳で加入したのに、もう22歳ですから(笑)。自分でもびっくりです。


ーー気が早いけど、来年の8月で結成10周年を迎えるわけですから。


中田:そうなんですよ。だから、最近はアンケートにも「もうすぐ10年目ですが」と書かれていることが増えていて。恐ろしいですよね(苦笑)。


ーーそれこそ皆さん、1期生として乃木坂46が結成された頃は「このグループが何年続くんだろう?」と思っていたわけで、10年後なんて想像できていなかったわけですよね。それがまもなく現実のものとなろうとしている。しかも、これだけ素敵な後輩もたくさん増えたわけですが、この8年、9年の積み重ねでグループはどう変化したんでしょう?


中田:よく「トップアイドルになったね」と言われるんですけど、自分では昔とあまり変わった気がしないんですよね。1期生の子たちは一緒に年齢を重ねているから、それこそ自分が年をとったことにもあんまり気づいてなくて(笑)。


樋口:そうなんだよね。


中田:だから、自分の中では変わってないと思っちゃうけど、メンバーの加入や卒業があることで、きっと気づかないところで自然と変化しているのかもしれませんね。


樋口:私もそんな大きく変わったとは自分自身感じていなくて。ただ、いつも思うのは本当に居心地のいいグループだなってこと。だから、ここまで気づかないうちに自分がこんなにも年を重ねていたんだなと思うし、不思議な感覚です。同じ1期生だと、このシングルでさゆ(井上小百合)も卒業しちゃうけど、正直卒業と聞いてもまだあまり実感が湧かないんですよね。それに、卒業していったメンバーとも今も仲が良いし、お母さん同士も仲が良かったりするし(笑)。後輩がたくさん増えたけど、1期生だけの頃とそんなに空気感も変わっていないと思うし、きっと1期生がみんな仲良くやっているから、自然と2期生、3期生、4期生のみんなの空気感も同じようになったのかなと思います。


高山:私は……個人的には、年々アホになっていて(笑)。


中田・樋口:(笑)。


高山:忘れ物も増えているし、昔のほうがしっかりしていたのかなって。逆に、後輩が入ってきたらしっかりしなくちゃって思うはずじゃないですか。なのに、どんどんアホになってきていて、自分の中ではそれがなぜなのかわからないんですよ。でも、毎日が楽しいし、確実に毎年幸せ度が上がっていってるから、一番今が楽しくて。


ーー幸せで安心するからこそ、そういった部分を自然と出せているのかもしれませんね。


高山:そうだ……こないだ深夜にハロプロさんの番組を観ていたとき、昔の映像が流れて完全にオタクに戻ったんですよ(笑)。でも、その番組の合間にまいやんが出ているCMが流れて、それを観て「ああ、綺麗だわ……」と思ったんです。ハロプロさんは昔からファンとして好きだけど、まいやんは人としてめっちゃ好きで、それって家族みたいな感覚に近いのかなって。そういう存在ができたのも乃木坂46のおかげだなと思うので、ありがとうという感じです……って、なんだか私が卒業するみたいな流れになっちゃいましたけど(笑)。


中田・樋口:(笑)。


■自分に先輩感が足りないことに気づいた(中田)


ーーやはり皆さん、卒業は意識しますか?


樋口:私も年は違えど同じ1期生だから、どんどん減っていく1期生を見ていくと「どうしよう……」と思いますし。


ーー白石さんと井上さんが卒業したら、1期生は9人になっていまいますものね。


樋口:去年のバースデーライブの映像を観たら、今とは数が全然違うからびっくりしますよ。「こんなにいたんだ!」って。


高山:そっか。


樋口:だって、今年のバースデーライブのときも「来年のバースデーライブはどんな景色になっているんだろう?」って思いましたもん。


ーーそれこそ、1期生だけで初期の曲をやるとなったら……。


高山:今年でギリギリだったよね。


中田:初期の曲を1期生だけでやると、島がひとつ減ったもんね(笑)。しかも、かずみんなんて2人でペアになるところをひとりでやってたし。


高山:そうそう、ひとりだった(笑)。


中田:正直、成立するギリギリのラインだったよね。


樋口:だから、来年のことを考えたときに鳥肌が立ちました(笑)。


中田:ユニット曲もオリジナルメンバーがどんどん減ってるし、「Rewindあの日」(※2017年5月発売の3rdアルバム『生まれてから初めて見た夢』収録曲)なんてオリジナルメンバー(※桜井玲香、西野七瀬、若月佑美)が全員卒業しちゃったから、4期生3人でやっていたしね。


樋口:5枚目(※2013年3月発売のシングル『君の名は希望』)のアンダー曲だった「13日の金曜日」もオリジナルは20人近くいたんですけど、今や(齋藤)飛鳥とまあやと私しか残っていなくて。


高山:えーっ!? そっかー!


樋口:「振りがわかるオリジナルメンバー、出てきて教えてあげて」って言われたときに3人しかいなくて、「嘘でしょ?」って思わず振り返りました(笑)。


ーーでも、そこに坂道研修生から新4期生5人が加わって、1期生の皆さんが築き上げてきた歴史を引き継いでいくことになるわけです。後輩たちの頼もしさは日に日に増しているんじゃないですか?  特に4期生なんて去年のバースデーライブではMCのときに泣いてしまったのに、今では堂々としたパフォーマンスを見せていますし。


樋口:確かに。みんな後輩が入ってくると強くなっている気がするよね。3期生も昔はすぐ涙が出ちゃう感じだったけど、4期生が入ってからはあんまり泣いている姿を目にしなくなったし。そうやって自然と頼もしくなっていくのかなと思いました。だから、同じ4期生かもしれないけど、今いる4期生は新4期生とは活動歴が1年違うわけだから、そこは変わってくるのかもしれない。


ーー後輩ができると意識するところも変わってきますものね。皆さんは2期生が加入したときはどうでした?


中田:私、当時はアンダーメンバーだったんですけど、「今仕事がこんなに少ないのに、新メンバーが入るんだ!」って正直不安でした。でも、入ってくれたあとは一緒にやっていく仲間という意識が強くなったので、そんなに先輩後輩という感じではなかったかもしれません。逆に、3期生や4期生に昔の曲の振り付けを聞かれたとき、自分に先輩感が足りないことに気づいて(笑)。うまく教えられないと「もっと頼もしくならなくちゃ」って反省しますね


■白石は「謙虚な精神が9年間ずっと揺るがなかった素敵な人」(高山)


ーー改めてお聞きしますが、皆さんにとって白石麻衣という人はどういう存在でしたか?


中田:完璧な人だなっていつも思っていました。歌もダンスも演技もトークも、何をやらせても完璧にできて、さらにこんなに美しくて、欠点がない。同期だけど憧れの人でした。


樋口:私も最初から最後までずっと、憧れのおねえさんでした。私が13歳で乃木坂46に入ったとき、まいやんは19歳だったんですけど、そのときは今よりももっとおねえさんに見えていて。私もああいうおねえさんになりたいなとずっと思い続けて、いざ自分がまいやんに出会った頃の年齢を超えてみると、果たしてあんなふうに年下から思ってもらえる女性になれているのかなとか、いつも考えるんです。だから、アイドルとしてもひとりの女性としても、ずっと憧れや目標の存在でしたし、卒業してからもそれはずっと変わらないと思います。


高山:何をさせても、めっちゃ面白い人ですよね。まいやんはお笑いが好きだから、昔からバラエティでも面白かったし、人を笑わせるのがすごく好きな人だから、ずっと笑い合っていた思い出ばかりで。アイドルにめちゃめちゃ向いていて、アイドルとして満点。こういう人がアイドルになるべきだなって、まいやんを見て思いました。私、最近思ったことなんですけど、もし自分が神様だったとして、誰にまいやんみたいな美貌を与えようかと迷ったとするじゃないですか。


樋口・中田:(笑)。


ーーはい(笑)。


高山:それでも私、まいやんに与えたくなるんですよ。ずっと謙虚だし、みんなを笑わせてくれるし、一緒に近くにいた身からすると本当に中身が美人なので。礼儀もしっかりしていて挨拶もちゃんとできるし、そういう謙虚な精神が9年間ずっと揺るがなかったし。本当に素敵な人だと思います。


ーーでは、白石さんが卒業したあとの乃木坂46はどうなっていくんでしょう。グループの外でも個人で大活躍して、“乃木坂46の顔”としてグループを引っ張ってきた彼女が去ったあと、皆さんはグループをどうしていきたいですか?


樋口:まいやんがいなくなった乃木坂46を、今まで応援してくださっていた方々がどう感じるのか、これからも乃木坂46を応援したいと思ってくださるのか、本当にわからなくて。逆に私たちがどうするというよりは、ファンの方の反応から新しい乃木坂46がどんどん作られていくのかなって、今はそう思っています。