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「パリーン」お店で割ってしまったグラス、客が弁償しないのは「当たり前」?

2020年03月25日 10:02  弁護士ドットコム

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店内に響く、「パリーン」という鋭い音。飲食店でグラスを割ってしまい、周囲の視線を集めてしまった経験はないでしょうか。


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こんなときは、ホールのスタッフが「おけがはありませんでしたか」なんて、駆け寄ってくることが一般的です。「弁償しろ」と言われることはあまりないでしょう。しかし、グラスやお皿が割れれば、店にとっては損失ですよね。



客が弁償しないのは当たり前なんでしょうか。それとも店の経営判断で請求されていないだけなんでしょうか。多くの飲食店で顧問を務めている石崎冬貴弁護士に聞きました。



●あくまで「店のサービス」

ーー法的には客が弁償しないのは当然なのでしょうか?



お客様の過失でお店の備品を壊せば、法的には、損害賠償義務が発生します。



お店がそれを請求しないのは、皿やグラスは消耗品ですし、価値が大きくないことがほとんどであるためです。



法的には賠償しなければならないが、事実上、お店が請求することは少ない、ということですね。



ーーだとしたら、壊れたものが高額だった場合は?



先ほど述べたように、法的には、お客様が賠償しなければならないのを、お店が今後の来店に期待して、いわばサービスとして請求していないというだけです。



高額な備品であれば、お店が請求するということは当然ありえます。



ーーその場合、全額を支払うことになるのでしょうか?



食器などの消耗品については、基本的に減価償却した後の時価評価額です。修理できるものは修理費用になります。



●数万円レベルだと請求されることが多い

ーー飲食店の顧問をしていて、どんなときに請求されることが多いと感じますか?



実務的にも、酔っぱらって壁や窓ガラスを壊すなど、数万円レベルの被害になると、お客様に請求することが多いと思います。



実際に当方で扱ったケースでは、「記憶がない」とか、連絡が取れなくなり、すぐに請求に応じてくれないお客様もいました。



薄利多売である飲食店にとって、修理費用の負担は小さくありませんので、顧問弁護士である私や警察も交えて、解決しようとすることもあるのです。



その後もうまく付き合っていくために、お店とお客様でよく話し合って解決することをお勧めします。



ーー客としては、弁償を求められないのは、「あくまでもサービス」であることを忘れず、店とよい関係を築けるよう振る舞いたいものですね