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iPhone 12、カメラの“グレードアップ”は画像安定化機能とLiDARセンサーに?

2020年03月25日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

Apple公式サイト「iPad Pro概要ページ」より

 5G対応が確実視されているものの、リリース時期に遅延が生じる懸念のあるiPhone 12(仮称)シリーズに関して、新たな情報が明らかになった。同シリーズは、やはりカメラがグレードアップするようだ。


(参考:Appleの新型iPad ProはどこまでノートPCに近づいた? 


・最上位モデルのみ画像安定化機能実装か
 Apple専門ニュースメディア『MacRumors』は23日、iPhone 12に画像安定化機能が実装されるという予想を報じた。この予想のソースは、Apple製品の予測で世界的に著名なMing-Chi Kuo氏である。同氏によると、最上位モデルにあたる6.7インチモデルのiPhone 12にセンサーシフト式の画像安定化機能が実装されるようなのだ。そして、2021年にはその年にリリースされるiPhoneシリーズの下位モデルにも実装される、と同氏は予想している。


 画像安定化機能は、実のところ、iPhone 11 Proにも実装されている。しかしながら、同モデルでは光学式を採用しており、超広角レンズでの撮影時には使えない。対するセンサーシフト式の詳細は明らかではないものも、カメラレンズに依存した機能ではないと考えられている。それゆえ、どのカメラレンズに対しても適用されるうえに、外付けアクセサリーのカメラレンズ使用時にも有効になると見られている。


 Kuo氏は、2022年にリリースされるiPhoneシリーズに関してもその仕様を予想している。2022年モデルには、全ズーム光学式の望遠カメラレンズが実装されるというのだ。iPhone 11 Proに実装されている望遠カメラレンズでは、2倍ズームでは光学式が採用されているものも、10倍ズーム時はデジタル式となっている。2022年リリースのiPhoneでは、こうしたズーム倍率による処理の違いがなくなるようだ。ちなみに、一般に光学式ズームはデジタル式より鮮明な画像が撮影できると言われている。


・iPad Proから見える、Appleが描く「ARの未来」
 また、既報のようにAppleは18日に新しいiPad Proを発表した。同タブレットは、高品質なAR体験を可能とするLiDARスキャナが実装されたことで注目された。こうしたなかビジネスインサイダーは24日、同タブレットがiPhoneひいてはAppleのAR戦略を垣間見せてくれると論じた記事を公開した。


 ビジネスインサイダーの記事は、まず現在までのAppleのAR戦略を振り返っている。同社のAR戦略は、iOSにARアプリ対応機能「ARKit」を実装したところから始まる。この時点ではソフトウェア上の対応に留まり、ARを意識したハードウェアをリリースしていなかった。そして今回発表された新しいiPad Proは、ARを明確に意識したハードウェア設計となっている。ARKitの発表と「iPadのARデバイス化」が同時ではなかったのは、ARKitを先行してリリースすることによってARアプリの開発ノウハウを学ぶ猶予をアプリ開発者に与えるのと同時に、ユーザにもARアプリを理解する猶予を与えるため、と推測される。


 iPadのARデバイス化の次に起こるのは、「iPhoneのARデバイス化」である。すなわち、iPhone 12にもLiDARスキャナが実装されるのだ。こうした予想は、既報の通り、かなり以前から語られていた。iPadがARデバイス化した現在、この予想はさらに確度を増したと言える。


 ビジネスインサイダーの記事は、「iPhoneのARデバイス化」のさらに先も論じている。ARデバイス化したiPhoneは、2023年頃にリリースされると噂されているApple製ARメガネに対する先駆的役割を担っているのではないだろうか。つまり、ARデバイス化したiPhoneを使ったAR体験にアプリ開発者とユーザが十分に慣れたタイミングを見計らって、さらにリッチなAR体験を提供するARメガネを投入する、というAppleのAR戦略がひそかに進められている可能性があるのだ。


・5月がタイムリミット
 ところで、新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るっている現状で、果たしてiPhone 12が例年通り9月に発表されるのか、という疑問が生じる。この疑問に関しては、ビジネスインサイダーが21日に公開した記事で論じている。その記事によると、中国にあるApple製品生産拠点は正常化しつつあるものも、世界全体に広がっているAppleのサプライチェーンはまだ正常化にいたっていない、とのこと。


 さらに、iPhone 12シリーズが例年通りに製造・出荷されるためには、5月までに大量生産が開始されなければならない。5月までに中国工場が正常稼働していても、設計を担当したエンジニアが中国に入国して設計を確定する必要がある。ところが、新型コロナウイルスが流行しているあいだは、国際的な移動は極めて困難である。こうした事情から、iPhone 12シリーズの製造に遅延が生じる可能性は、依然として高いのである。


 5G対応とLiDARスキャナ実装が見込まれるiPhone 12シリーズは、時代を画するモデルとなるのは間違いない。しかし、同モデルが時代を画する「時期」については、誰も確かなことを言えないのだ。


(吉本幸記)