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『星のカービィ64』発売から20年 3Dで立体的に生まれ変わった「カービィ」10作目の魅力とは?

2020年03月24日 13:21  リアルサウンド

リアルサウンド

星のカービィ64

 ピンク色のまん丸ボディーに天真爛漫なキャラクターと言えば、おそらく多くの方々が任天堂の”カービィ”を思い浮かべるのではないだろうか。そんなカービィが活躍するNINTENDO64(以下N64)用ソフトが、20年前の2000年3月24日に誕生した。そう、『星のカービィ64』である。本稿では筆者のプレイ経験や主観に基づき、この度発売から20周年を迎えた同作について振り返りたいと思う。


(参考:『スマブラSP』の誘いに乗れなかった初心者が、2時間の練習で対戦を楽しめるようになった話


・NINTENDO 64で生まれ変わった『星のカービィ』
 『星のカービィ64』は、1992年4月に発売された『星のカービィ』シリーズの第10作目にあたるタイトルだ(スピンオフ作品を含む)。前作『星のカービィ3』がスーパーファミコン用ソフトだったのに対し、ソフトを当時の現行機種であったN64用としてリリース。タイトル名の通り、N64の3D描画技術を生かした3Dアクションゲームへ生まれ変わった。


 とはいえ、それまでのシリーズ作品で見られた遊び方は、本作でもしっかりと踏襲されている。横スクロール形式のステージを突き進み、道中の敵を吸い込んで能力をコピー。吸収した能力を駆使して最奥部に構えるボスを撃破……。対応ハードこそ変わったが、『星のカービィ』シリーズが秘めるゲーム性は受け継がれていたように思う。また新システム「コピー能力ミックス」(詳しくは後述)の登場により、プレイスタイルの幅が広がったのも事実だろう。


 そして何と言っても魅力的なのは、3Dポリゴンで立体的に描かれたキャラクターたちの姿。オープニングシーンでカービィが出会う妖精「リボン」をはじめ、ワドルディやデデデ大王、アドレーヌなど、生き生きと動き回るキャラクターを見るだけでも本作をプレイする価値は十二分にある。また主人公のカービィに本格的なボイス(CV:大本眞基子氏)が実装されたこと、宿敵・デデデ大王の声をカービィ生みの親である桜井政博氏が担当しているのも興味深いポイントだ。


・プレイスタイルの幅を広げたコピー能力ミックス
 本作における最大の新要素は、やはり先述したコピー能力ミックスではないだろうか。これはカービィが単体の能力に加え、別々の(または同一)能力をかけ合わせて新たなコピー能力を生み出せるというもの。バリエーションは28種類にも及び、同じ属性でもミックスさせる能力が違うだけで全く異なった性質を持つ場合もある。


 例えば「バーニング(炎)」と「ストーン」(岩)を組み合わせれば、カービイが頭頂部から火山弾を勢いよく発射。「スパーク」(電気)と「ボム」(爆弾)を合わせると、カービィが電球へと姿を変身。そのほか「バーニング×バーニング」といったように、同じ能力なら単体の時と比べて性能がパワーアップしたりと、それぞれ賑やかに能力を派生させることができた。


 この要素はゲーム性に変化をもたらしただけでなく、カービィが見せる表情の増加に大きく関係していたと思われる。頭に火がついて慌てふためくカービィ。スケートシューズを履いて優雅に地面を滑るカービィ。直線的なフォルムの冷蔵庫へと姿を変えるカービィ等々、コピー能力ミックスのおかげでふとした仕草が魅力的に映るようになったのかもしれない。


・本編に勝るとも劣らない3種類のミニゲーム
 本作を語るうえで忘れてはならないゲームモードがある。それは本編とは別に収録されている3種類のミニゲームだ。コース中の障害物を避けてスピードを競い合う「けんけんレース」。地面に落とさないようフルーツをかごで受け止める「とるとるバトル」。そして、ブロックを消して相手プレイヤーを場外へ落とす「おちおちファイト」。これら3つのミニゲームはどれも丁寧に作り込まれており、独立した対戦型ゲームとして見ても完成度は高かったと記憶している。


 特に筆者のお気に入りはおちおちファイト。ルールこそシンプルだが、各プレイヤーの動きを先読みして衝撃波を放ったり、相手を追い込むように立ち回って気づかれないよう落下を狙ったりと、意外に奥が深い。加えて最大4人までプレイ可能なほか、1人で問題なく遊べたのも嬉しかった。腰を据えて本編を進めた後は、息抜きがてらにミニゲームをプレイ。休憩のつもりが熱中し、気づけば”めちゃつよ”(最高難易度)のCPUを倒したいがために挑戦を繰り返していた……なんて経験のある方もいるのではないだろうか。


 生誕から20周年を迎えた『星のカービィ64』。現在はWii U用にバーチャルコンソール版も配信されているので、興味のある方はこれを機会にぜひチェックしてみて欲しい。


(龍田優貴)