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E-girls、ティーンから愛される理由は? 完璧なパフォーマンスに見え隠れする“親しみやすさ”

2020年03月21日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

E-girls『別世界』(CD+DVD)

 新型コロナウイルスの影響でライブやイベントが続々と中止または延期となっている中、フジテレビは「このような状況でも楽しみに待ってくれている人のためにエンターテインメントを届けたい!」という思いから、3月21日よる19時より『緊急生放送!! FNS音楽特別番組 春は必ず来る』を放送。番組の趣旨に賛同したアーティストとして、昨年12月22日に行われた新シングル『別世界』のリリースイベントで、2020年末での解散を発表したE-girlsが出演する。


(関連:E-girlsが迎えたアーティストとしての成熟


 本稿を機にE-girlsのこれまでを振り返りたい。LDH所属のガールズグループ・Dream、Happiness、Flowerの共同プロジェクトで結成され、2011年にシングル『Celebration!』でデビューしたE-girls。同事務所に所属するEXILEの妹分として活躍し、3rdシングル『Follow Me』でブレイクして以降、『NHK紅白歌合戦』出場常連のアーティストへ登りつめた。その後、メンバーの脱退や加入、E.G.familyへの組織拡大を経て、2017年に11人体制に。現在は、ボーカルの藤井夏恋、鷲尾伶菜、武部柚那を中心に、佐藤晴美、楓、山口乃々華、SAYAKA、須田アンナ、坂東希、YURINO、石井杏奈がパフォーマーとして活動している。過去には、E-girlsの顔として、バラエティでも活躍していたDream Amiや、藤井の実姉である藤井萩花、E.G.familyのチーフ・クリエイティブ・マネージャーであるDream Ayaなどが所属していた。


 女の子なら誰もが憧れる整った顔立ちと抜群のスタイルを持ち、音楽活動だけにとどまらず、モデル・女優・タレントなど、マルチな才能を発揮しているE-girlsのメンバー。華やかな世界に突如として現れたシンデレラたちに思えるかもしれないが、彼女たちが現在の地位を確立するまでの道のりは平坦なものではなかった。2015年に放送された『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS系)にて、メンバーたちがE-girlsとしてデビューするまでの苦労を語っている(参照:https://realsound.jp/2015/01/post-2213.html)。


 E-girls結成当時、中心メンバーが所属していたDreamは、1999年にavexが開催したオーディション『avex dream 2000』でグランプリを受賞したメンバーで結成(ちなみに準グランプリには倖田來未が選ばれている)。のちにE-girlsとなるAmi、Aya、Shizuka、Erieは2002年に追加メンバーとしてDreamに所属するが、なかなか芽が出ず、2008年にはavexから解雇通知が出される。それでもなお、夢を諦めなかったメンバーを見て、マネージャーがavexグループの代表取締役である松浦勝人に打診。松浦がE-girlsのダンス講師を務めていたEXILE・HIROに相談を持ちかけ、DreamはLDH所属のアーティストとなったのだ。


 一方、LDHには事務所の事業であるダンススクール「EXPG STUDIO」から選ばれたメンバーによるガールズグループのHappinessとFlowerが所属していた。しかし、当時はAKB48が「ヘビーローテション」や「フライングケット」など次々にヒット作をリリースし、少女時代やKARAといったK-POPアイドルが人気を博していた時期。何組ものガールズグループをプロモーションしていくのは厳しいと判断したHIROは、EXILE系ガールズユニットのE-girlsとして3組同時に売り出していくことを決定した。


 そこからメンバーたちは、他のアイドルグループと差をつけるため、アスリート並みのトレーニングに励む。デビュー当時は筋トレやダンスレッスンをこなしながら、E-girls Showというストリートライブまで行なっていたという。容姿・歌唱力・ダンスすべてが完璧な彼女たちだが、それは天に与えられたものではなく、下積み時代があってこそ成り立っているのだ。しかし、不思議なことに、E-girlsのパフォーマンスが始まった途端、普段は遠い存在であるはずの彼女たちが何故か少しだけ身近に感じられる。その理由の1つになっているのが、キャッチャーで親しみやすい楽曲だろう。例えば、E-girlsの代表曲である「ごめんなさいのKissing You」では、一度サビを聞くと何度もそのフレーズが頭の中をリフレインするほどの中毒性がある。


 そして、もう1つの理由は、彼女たち自身がステージに立つことを心から楽しんでいるからだと思う。ステージの上で2時間以上も激しいパフォーマンスを披露する上で、かなりの体力を消耗するであろうことは想像に難くない。しかし、メンバーは誰一人として疲れた顔は見せず、汗を滲ませながらも爽やかな笑顔でファンに手を振る。それはきっと前述の通り、どんな逆風の時でも諦めず、ステージに立つことを夢に努力し続けてきたからだろう。やっと、この舞台に立てた――そんな顔でパフォーマンスするメンバーたちを見ていたら、彼女たちも自分たちと同じように夢を見る普通の女の子なんだと勇気をもらえる。E-girlsの魅力は、“完璧なパフォーマンス”と“見え隠れする“親しみやすさ”といった二面性にあるのではないか。そのどちらも持ち合わせているからこそ、ただファンから愛されるだけではなく、10~20代の女の子に元気と夢を与えることができる。実際に、LDHにはE-girlsを頂点に、高校生以上世代のRabbits、中学生以下世代のBunnies、EXPG特待生、そしてEXPGのレッスン生といった順で、エンタテインメントの世界で活躍したいという夢を持った女の子がE-girlsを目指せる制度が整っているのだ。


 E-girlsは今年、約1年半ぶりとなるアリーナツアー『E-girls PERFECT LIVE 2011→2020』を開催。残念ながら2月29日、3月1日に開催予定だった東京公演は中止となってしまったが、公演を楽しみに待っていたファンもE-girlsの『FNS音楽特別番組』出演で少しは報われるのではないだろうか。そして、全体的に自粛ムードで鬱々とした世間の空気を吹き飛ばすようなパフォーマンスを、E-girlsは見せてくれるに違いない。(苫とり子)