10代の頃、しょっちゅう金縛りに遭っていた。ある晩も金縛りに苦しめられて、やっとこさ体が自由になったため、すかさずインスタントカメラで部屋の様子を撮影したことがある。
何度シャッターを押そうとしてもビクともせず、それでも夢中で連打したらようやく「カシャ」と音が出た。ところが、出てきたフィルムはいくら時間が経っても真っ白いまま。フィルム1枚を無駄にしてバカバカしくなり、ふと「今何時じゃ」と時計を見たら、8月13日になったばかりだった。
幽霊はきっといるんだろう。僕はそう信じて暮らしているんだけど、世の中にはいる、いない以前に、ガッツリ見てしまったという人もいるようだ。そんな人たちの話って結構面白い。(文:松本ミゾレ)
角部屋に住むにぎやかな家族連れ 回覧板を回しに行くと……
先日、ガールズちゃんねるに「霊はいると確信した出来事」というトピックが登場した。トピックの趣旨は簡単で、幽霊をしっかりと見たことのある人たちが経験檀を書き込む、というものだ。面白い話も多いので、ちょっくら紹介させていただきたい。
「昔住んでたアパートだけど、左の角部屋に住人の家族連れの声にいつも癒されていました。朝は子供の声と両親の声。夜は両親の声で聞いてるだけで本当に微笑ましかったです。ただ姿も見てないし、いつも雨戸は閉まってました。そんな最中回覧板が回ってきて、回そうとしたら自分が最後でした。挨拶がてらノックするも何も返答はありませんでした。一階の大家さんの家に回覧板を戻したときに聞いたら、過去に一家心中があった部屋とのこと。怖くなって数ヶ月後引っ越しました」
「人身事故のあった駅で『そういえばここって最近人身(女子高生が飛び降りた)あったよなー』なんてふと考えてたら耳元で若い女の子の声で『またね』って言われた。普段から霊感ないけど信じざるを得なかった」
「お母さんが大事にしてたフランス人形があった。ものすごく大事にしてて、たまにお風呂入れてあげたり、いつも人形さんのおひざにおやつ置いて、私も小さくて、お菓子欲しい時は『ちょうだいね』って声かける事が決まり事だった。ある時火事になった。お母さんは人形さんの事忘れて私達子供を連れて逃げた。次の日だったかな? 私が人形さん抱いて、家族全員でリビングで集まってる時、みんなが『えっ?』って、ギョッとした目で人形さん見てた。人形さんの目からポタポタ涙落ちてた。お母さんは『ごめんね。怖かったね』って慰めてたけど、お母さん以外全員時が止まった」
という具合に、怖い話はいろいろとあるもんだなぁ~と感心しきりだ。人形さんの話は怖い以前にちょっと悲しい気持ちにもなってしまったけど。燃えてなくて良かった。
おせっかいな母親の幽霊も
ところでこのトピック、よくよく確認すると親族が亡くなった後に幽霊になって帰ってくる系の話も多かった。どれも印象深いので、そちらも紹介しておきたい。
「母が亡くなったあと、近所のおばちゃんが血相変えてうちを訪ねてきてた。『あなたのお母さんが、あなたの部屋がブタ箱のように汚いから片付けてと枕に立った』と言って掃除してくれた」
「あんなに『幽霊はいない!』って言ってた祖父が家族が心配で出てきてたこと。家族の体調が悪くなって知り合いのそういうの見れる人に見てもらって発覚」
「叔母が亡くなった。叔母には60歳になる息子が居るんだけど(A男)、酒癖が悪く離婚、近所の人に迷惑かけまくりで、叔母は生前から『A男を残して死ねないなぁー、心配』って言っていた。そんな叔母が風呂場で倒れて他界。49日直前、夢で叔母(だと思う、顔はわからなかった)が、『A男も一緒に連れていく』と言って消えた。数日後、A男さんは自宅の裏庭で倒れているのを発見された。特に私は霊感ありません。霊的な物は信じていなかったのですが、こればかりは……」
「祖父の葬式でセレモニー会館に寝泊まりした。当時四歳の子供は、夜泣きも終わっていたのに、その夜ワーワーと、泣き出して、お経のようなものを唱え出したのには恐怖を覚えた」
いかがだろうか。こういう話を連発で見ちゃうと「やっぱり霊はいるんだろうなぁ」という気になってしまうってものだ。
親族関係の話って怖いことは怖いけど、切なさも半端ない。でも、こんな経験ができるだけ幸せなような気もする。
僕は祖父が大好きだったけど、死んでからもう12年経ってるのに未だに幽霊に会えてない。そろそろ、祖父の声も忘れそうで、それがとても悲しいので、どうか幽霊でもいいからもう一度声を聴かせてほしい。