2020年03月18日 07:01 リアルサウンド
Appleが2020年秋にリリースを計画しているといわれる5G対応モデルiPhone 12の発売スケジュールが、Apple従業員の中国やアジアへの渡航禁止ポリシーが4月末まで延長されたことで、さらに遅れる可能性が出てきた。
(参考:Appleが中華圏以外、世界中の店舗を閉鎖 米国の非常事態宣言を受け)
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)は、アメリカでも感染拡大が広がっており、世界保健機関(WHO)が、パンデミック(世界的大流行)に認定した。
Appleは、従業員のリモートワークを推奨しており、世界規模でApple Storeを3月27日まで閉鎖する処置をとっているが、iPhone生産を行なう上で、Appleエンジニアが、生産現場で直接テストを行うことが必須だという(参考:https://www.ubergizmo.com/2020/03/5g-iphone-delayed-travel-ban/)。
サプライチェーンに詳しいバンク・オブ・アメリカのエリオット・ラン氏は、iPhone 12のリリースが例年の9月から1か月遅れる可能性があるとしているが、『Front Page Tech』のJon Prosser氏は、関係者への調査の結果、それよりも遅い11月になると予測した。
たとえ部品の供給が滞りなく行われ、労働者が現場に戻り生産能力が回復しても、中国の工場は、依頼主であるAppleの承認なく、生産工程を進めることはできないからだ。
・iPhone 9(iPhone SE 2)のリリースは無期限延期か
小型の新モデルiPhone 9(iPhone SE 2)については、当初3月発表4月発売が既定路線と思われていたが、エリオット・ラン氏は、新型コロナウイルスによる、供給の問題と需要の低下により、数ヶ月遅れることを予想している。
Jon Prosser氏は、6月頃が有力ともいわれているが、不確定要素が多く、Apple内では「無期限延期」という話も出てきていると伝えている(参考:https://www.tomsguide.com/news/iphone-9-delayed-indefinitely-multiple-sources-confirm)。
・新型コロナウイルス感染対策で、発売に踏み切れず
新型デバイスの発売を無期限延期するとされるもう1つの根拠は、店頭に顧客が行列をつくり、店内に人がごった返すことで、ウイルスの感染拡大を招く可能性があるからだという。
Appleのティム・クックCEOは「ウイルスの感染リスクを最小限に抑える最も有効な方法は、人々が密集しないことだ」とコメントしていた。
発生源となった中国では、厳格な対策が功を奏してか、感染者数は減少している一方で、イタリア、スペインといった欧州やアメリカでは、爆発的に感染者数が増加している。
日本では、より一層の対策を講じて、感染者数の急増はしていないが、小康状態で予断を許さない状況には、変わりない。
そのため、たとえ生産の目処が立ち、需要の回復が見通せるようになっても、感染症予防対策として、Appleが店舗での発売にいつまでも踏み切れない可能性も出てきた。
(Nagata Tombo)