帝国データバンクは3月17日、「新型コロナウイルスによる上場企業の影響・対応」に関する調査結果を発表した。調査は上場企業を対象に実施し、3月中旬までに公開された適時開示情報やプレスリリースなどを元にまとめた。
新型コロナウイルスによる工場や店舗などの休業、防疫措置といった何らかの影響を受けた上場企業は749社判明し、上場企業(約3800社)の2割にのぼった。業種別にみると、最多は「製造業」(33.5%)だった。
京都ホテル、観光客減、宴会キャンセルなどで4年ぶりの最終赤字
次いで、多かった業種は「サービス業」(21.5%)。このほか「卸売業」(10.8%)、「小売業」(8.7%)などでも影響が大きかったようだ。
影響を受けた749社のうち、337社は業績へのマイナス影響に言及。このうち「影響の懸念がある」など"影響不確定"の企業は205社。月次の客足・販売の減少、下方修正などで、既に業績への影響が出た、今後出る見通しなどの"影響あり"の企業は132社にのぼった。
同社は2社の具体例を列挙。このうち、京都ホテルは、国内外の観光客減少に加え、宴会キャンセルやビュッフェ式レストランの営業自粛などで売上高が大幅減、4年ぶりの最終赤字になる見通しとしている。
また、工場などでの生産調整や稼働停止といった、生産活動に影響が出た企業が87社だった。1月末~2月中旬にかけて、主に中国での操業停止といった動きが相次いだが、その後は部分稼働などで生産を再開させる企業が多くみられるという。
小売業やサービス業などでも影響が広がっている。店舗や拠点の営業休止、営業時間短縮対応などで営業活動に影響が出た企業は84社。サービス提供・イベントなどの開催中止・延期は109社にのぼった。
さらに、自社や関連会社などで従業員の感染が判明した企業は47社。小売やサービス、運輸などの業種で感染が発覚している。防疫のためにテレワークやオフピーク出勤、特別休暇制度の取得推奨など、働き方の変更を表明した企業は判明分で173社にのぼる。出張・プライベートなどにおける海外渡航禁止・自粛の対応を取る企業は82社だった。
マスクの生産会社、国内販売量は「前年比1.8倍」の見通し
一方、需要が拡大した企業もあった。拡大するテレワークやテレビ会議を支援するためのツール無償提供、臨時休校措置などに伴う児童への食事支援、ワクチン開発など、各種支援・サービスが判明した企業は68社にのぼる。
また、衛生用品の増産や販売など、市場の需要拡大への対応が判明した企業も27社にのぼった。使い捨てマスクを生産する興研(東京)は、防塵マスクをタイの拠点で増産している。20年1~3月期の国内販売量は昨年の約1.8倍となる見通しを示している。