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「コロナがうつるぞ」感染者のふりして逮捕あいつぐ 軽率な行動に大きなリスク

2020年03月17日 12:12  弁護士ドットコム

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新型コロナウイルスが生活に影響を及ぼす中、感染しているふりをして、周囲に迷惑をかけた人が逮捕される事例があいついでいる。


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たとえば、島根県では3月13日、JRの駅で感染者を装った40代の男性が逮捕されている。



報道によると、男性は同日昼、駅構内で「1メートル以上離れないとうつる」などと言ってマスクなしで咳をするなどしたという。



これにより駅員が待合室などを消毒。男性は偽計業務妨害の疑いで逮捕された。



FNN(山陰中央テレビ)の報道によると、駅の窓口が昼休みで閉まっていたことに腹を立てた可能性があるという。



●逮捕あいつぐ

東京では、アイドルのイベントについて、「コロナから復帰しました」などとツイッターにウソの投稿をして、イベントを15分程度中断させたとして、30代の男性が3月16日に逮捕された。



群馬県でも同日、電車の中で50代の男性が「自分は新型コロナに感染している」と発言し、乗客とトラブルに。電車が約1時間遅れたとして、逮捕された。



この3例の逮捕容疑はいずれも偽計業務妨害。メディアによっては実名で報道されている人もいる。



感染者を装うことにどんなリスクがあるのか、島根県の事例をベースに、西口竜司弁護士に聞いた。



●「感染者のふり=騙す」なので「偽計」に

ニュースを聞いて何だかなーと思ってしまいます。世界各地を大混乱に陥れていますコロナウイルスに関するお話、正直もう終わって欲しいというのが本音です。



そんな中発生しました。今回の島根県の事件について解説をさせていただきたいと思います。



当然のことですが、面白おかしくコロナを使うなんて言うのは許されるような話ではありません。ウイルスなので目に見えないものであり、恐怖しかありません。



島根県の事件につきましては、刑法でいえば刑法233条の偽計業務妨害罪、刑法222条の脅迫罪等にあたる可能性があります。



偽計業務妨害罪における「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務をいい、駅での仕事は「業務」にあたります。



また、「偽計」とは、人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用することを意味し、今回もコロナだと騙しているわけですから「偽計」にあたります。



従いまして、今回の事件は偽計業務妨害罪にあたります。



●脅迫になる恐れも

また、脅迫罪における「脅迫」とは、人を畏怖させるに足る害悪の告知をいいますが、今回の事件では駅員が恐怖心を覚えている可能性が高く「脅迫」にあたります。従いまして、脅迫罪にもあたるでしょう。



以上から、今回の事件は犯罪にあたることになり、逮捕されてもやむを得ないですね。



今後類似の事件が出てくる可能性がありますが、絶対に模倣することはやめて下さい。ウイルスで心がすさむことは理解できますが、人に迷惑を掛けてはいけません。




【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士Youtuberとしても活動を開始している。
Youtube:https://youtube.owacon.moe/channel/UC0S5XriZt1UDy9TnLU4RN6w
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/